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学問分野解説

医学系統 / 歯学系統 / 薬学系統 / 看護・医療技術系統 / 保健・福祉系統 / 家政・生活系統 / スポーツ・健康系統

52.医学

使命感を持って「いのち」と向き合う

医学は、人間の健康の維持・増進、疾病の予防と治療への貢献を使命とする学問。6年間のカリキュラムで専門知識を身につけ、医師免許の取得をめざす。国家試験合格後は2年以上の臨床研修が必須となっている。その分野は基礎医学、臨床医学、社会医学の3つに分類される。

臨床医学のほかにもある医学の役割

「臨床医学」は医療の現場で、実際に患者の診療と治療を行う。「基礎医学」は解剖学や生化学、病理学といった医学の基盤分野を研究することで、人体の構造や機能・メカニズムについて研究する。それによって病気の原因や発症から治癒への経過を明らかにすることをめざす。「社会医学」は、法律との関係を研究する法医学のほか、病気の予防を目的とした公衆衛生学、さらに地域医療など、医学と社会との関わりも考えていく分野である。


進路は主に臨床医・基礎医学研究・行政の3つ。卒業生の大半は医師国家試験を受験し、臨床医・研究医をめざす。基礎医学を志す人は、基礎系の大学院へ進学。公衆衛生学・環境医学の研究や医療行政に携わる人もいる。

歯学系統 / 医学系統 / 薬学系統 / 看護・医療技術系統 / 保健・福祉系統 / 家政・生活系統 / スポーツ・健康系統

53.歯学

歯学の守備範囲は「歯」だけではない

歯学は、「歯」だけには限定されず、口腔組織や顎(あご)、その周辺の疾患の治療と機能回復を担う口腔部分全体に関する学問で、6年間のカリキュラムで学ぶ。口腔部分は、食べること・話すことに関わる健康や生活にとって重要な部分である。むし歯や歯周病の予防や治療だけにとどまらず、研究対象やテーマは社会のニーズとともに広がりを見せている。

身体全体の健康や美容、再生医療まで

歯並びを整える歯科矯正分野、顎や口腔の炎症・外傷などの治療を研究する口腔外科分野、放射線による歯の診断や治療を研究する歯科放射線学分野、食生活指導などを含めた予防的な歯科学、高齢者・小児歯科学、歯の美容に関する審美歯科分野などがある。また、口腔の健康が身体全体の健康に関わることもわかってきた。さらに、遺伝子組み換え実験や再生医療、脳外科分野へのアプローチも進められている。


学部卒業時に歯科医師国家試験受験資格が与えられ、合格者のほとんどが歯科医になる。合格後は1年間の研修期間を経たあと、臨床医として就職するのが一般的。大学院へ進学し、研究者や大学教授をめざす人もいる。

薬学系統 / 医学系統 / 歯学系統 / 看護・医療技術系統 / 保健・福祉系統 / 家政・生活系統 / スポーツ・健康系統

54.薬学

薬剤師や薬の開発研究者をめざす

薬学は、薬と人体の関わりについて研究する学問。薬学には2つの側面があり、1つは薬によって医療をサポートする領域、もう1つは新しい薬の研究開発と製造に関する領域である。薬剤師をめざす場合は6年制のカリキュラムで学ぶ。ほかに製薬会社の研究開発部門などで働く薬科学研究者を養成する、4年制のコースもある。

薬で多くの人々の命を救い健康を守る

研究分野は4つに分かれている。「製薬学系」は医薬品の開発、製造、安全性の研究を行う。「医療薬学系」は、病院や薬局で薬剤師として活躍するための医薬品の調剤・使用・管理などを学ぶ。「衛生薬学系」は、公衆・環境衛生の食品衛生などの面から化学物質の安全性や影響について研究する。「生物薬学系」は、自然界の微生物をはじめとする生物をワクチンや治療薬として利用する研究を行う。


6年制は、薬剤師の免許を取得して医療機関や薬局に勤める人が多く、製薬・化学・食品・衛生関連企業などへ研究者として就職する人もいる。4年制は、公務員や薬品メーカーの医薬情報担当者になる人が多く、大学院に進学する人もいる。

看護・医療技術系統 / 医学系統 / 歯学系統 / 薬学系統 / 保健・福祉系統 / 家政・生活系統 / スポーツ・健康系統

55.看護学

患者の身体と心をケアする

看護学は、病院や社会福祉施設などで医師の診療を補助し、新生児から高齢者まで、病気で苦しむ人を身体、心の両面からケアする技術や方法を学ぶ学問。患者の年代や病気の内容により「基礎看護学」「精神看護学」「成人看護学」「小児看護学」「母性看護学」「老年看護学」などに分かれていて、細分化された看護のノウハウを学ぶ。

看護師のほか、保健師、助産師、養護教諭への道もある

所定の科目や課程を履修することで、看護師、保健師、助産師(女性のみ)の受験資格や、養護教諭の資格を取得できる。医療の高度化、専門化にともない、がん化学療法看護や感染管理、緩和ケア、救急看護など21の分野について高度な看護を実践できると認められる「認定看護師」や、大学院修士課程を経て特定の専門看護分野で卓越した看護能力を持つと認められる「専門看護師」という制度が始まっている。


国家試験受験資格を取得し、看護師、保健師、助産師などをめざす人がほとんど。医療機関に限らず、在宅療養を望む人のケアや、老人福祉施設、児童福祉施設、訪問看護ステーションに所属するなど、活躍の場は幅広い。

56.医療技術

医療現場に欠かせないプロフェッショナルをめざす

医療現場になくてはならない医療科学技術の専門家を育成する学問分野。「診療放射線分野」はレントゲン、断層診断(CT)、磁気共鳴画像装置(MRI)などでの検査法を学ぶ。「臨床検査分野」は血液・尿の成分や細菌・ウイルスの有無、細胞組織のがん化などの検査技術を学ぶ。また検査だけでなく病原体の研究などをする研究者としての役割も求められている。

身体や言語の機能回復のための専門技術を学ぶ

リハビリテーション系には身体の機能回復をめざす「理学療法」、作業を通じて心身の回復をめざす「作業療法」、聴覚・言語の機能回復をめざす「言語聴覚療法」の分野がある。自然治癒力を高めるとして予防医学の点からも注目されている鍼灸師や、骨・関節・筋・腱・靭帯などの骨折・脱臼・打撲・捻挫などの損傷を手術をしない「非観血的療法」によって治療を行う柔道整復師などもこの領域に含まれる。


臨床検査技師、理学療法士、作業療法士など専門家としての知識と技術を生かし、病院、臨床検査センター、保健所、特別養護老人ホームなどの社会福祉施設で働く人が多い。健康機器メーカーなどの民間企業へ就職する人もいる。

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57.保健・福祉学

健康と衛生を守る専門知識を学ぶ「保健学」

保健学は、健康の増進や、病気の予防・早期発見・治療・回復までを科学的に分析・研究する学問。保健衛生学、保健環境学、保健栄養学の3つの分野が研究の中心となる。保健学は病気そのものを扱う医療と比較すると、「人の健康全体」を対象とし、さらに個人の心身のケアだけでなく、その対象範囲は家庭や地域社会、国際社会にまで及ぶ。

高齢者や障がい者など社会的弱者を支える「福祉学」

福祉学は、高齢者や児童、障がい者などとその家族へのサポートを、理論と法律をふまえた上で考えていく学問分野。社会福祉施設や行政機関などで相談にのり、適切な社会サービスを提案する社会福祉士や精神保健福祉士、医療機関などで患者や家族を福祉の側面から支える医療ソーシャルワーカーなどの専門家を育成する。


保健学は、養護教諭や臨床検査技師、栄養士などの資格を取り、学校や病院、福祉関係の施設で働く人が多い。福祉学は、ソーシャルワーカーとして自治体の福祉行政部門、保健所、福祉施設などで働く人が多い。

家政・生活系統 / 医学系統 / 歯学系統 / 薬学系統 / 看護・医療技術系統 / 保健・福祉系統 / スポーツ・健康系統

58.食物・栄養学

「食と栄養」について、多方面から学ぶ

食物・栄養学は、食品を安全に加工・調理・保存し、いかに効率よく栄養を摂取できるかなど、食と健康の関係、食の安全、文化面からの食のあり方などを科学的・文化的見地からアプローチし、社会的な視点でとらえる複合・総合的な学問である。栄養士の資格は所定の科目を履修すれば取得できる。栄養士を指導したり、病院での栄養指導などを行う管理栄養士の資格は所定の養成課程を修了して、国家試験に合格すれば取得できる。

必要性が高まる食と栄養に関する専門家

急激な食生活やライフスタイルの変化にともない、生活習慣病や偏食、食品添加物の問題などが起きている。また農薬や放射性物質によって食の安全が脅かされたり、子どもたちの食に対する意識を高めるための「食育」の必要性も指摘され、食や栄養に関する専門的な知識を持った人材が求められている。


病院・学校・福祉施設で栄養管理の業務や、食品メーカーで商品開発に携わる人が多い。また、外食産業、流通、販売、マスメディアなどでも食への問題意識を生かしたり、家庭科教員として食生活のあり方を指導する人もいる。

59.被服学

被服はライフスタイルの重要な要素

被服学は、衣服のデザインや製作、素材となる繊維の開発や生産、衣服の流通・消費、服飾文化や歴史といった、衣服と生活の関わりを、科学的・文化的に研究する学問である。被服学の目的は、かつての「洋服や和服の縫製技術の修得」から、「快適な生活やライフスタイルのための衣服の創造」に移行してきた。

歴史から素材研究、マーケティングなども研究対象

衣服の歴史や文化を学ぶ「服飾美学・服飾史」や、被服の流通や消費に関するマーケティングなどを学ぶ文系的要素と、衣服を創作するための素材の研究、防炎・防臭・防水など加工技術の研究、被服製作や縫製技術、コンピュータでの設計・製図を学ぶ理系的要素が絡み合っているのが特徴。色彩学、テキスタイル(織物・布地)デザイン、人間工学、繊維や染色の化学工業技術などとも深い関わり持つ。


アパレル、繊維メーカー、百貨店などの小売業へ就職する人が多い。デザイナー、パタンナーといったクリエイターや、商品企画・商品管理、品質管理に関わりながら専門的な能力を発揮する人、家庭科教員になる人もいる。

60.児童学

子どもの健全な成長を支えるための学問

児童学は、幼児・児童の心身の成長と発達をさまざまな角度から分析し、子どもの成長にとって望ましい教育や生活環境について研究する学問である。幼児期の教育は子どもの成長と発達にとって重要な位置づけにある。実際に子どもたちとの交流を通して、子どもたちが抱える問題をとらえる臨床的な研究も重要となっている。

子どもの心理、教育、福祉、保健、文化を考える

研究分野は5つ。「児童心理学・発達心理学」は子どもの発達に応じた心理と行動の関係を研究する。「児童教育学・保育学」は児童の教育のあり方を家庭や地域社会を含めて考える。「児童福祉学」は児童の育成で生じる問題の福祉的側面からの解決を模索するとともに、児童福祉の理念を学ぶ。「児童保健学」は児童の心身の健康について学ぶ。「児童文化・環境学」は子どもと、その生活環境の関わりを研究する。


保育士や、幼稚園・小学校で教育職になるなど、子どもと直接関わる職種を志望する人が多い。児童相談所職員や公務員として行政面から児童の問題に関わったり、玩具や子ども服のメーカーなどに進む人も少なくない。

61.住居学

豊かな生活空間とライフスタイルを創造する

住居学は、生活の場である居住空間に関わる全般を学び、豊かな住環境の実現を目的とする。主要な分野は、「設計・デザイン系」、「住文化系」の2つに大別される。「設計・デザイン系」は建築学とも関係しながら、構造力学や住む人のライフスタイルを反映した間取りなどの住宅計画・住環境を設計する工学的な分野である。「住文化系」は、住環境のあり方をライフスタイルの側面から考え、家政学や生活文化学的な視点で研究を行っていく。

バリアフリーやユニバーサルデザインなど、快適な空間づくりをめざす

高齢者や障がい者の生活に不便な段差や障害を取り除いたバリアフリーや、すべての人にとって使いやすいユニバーサルデザインを取り入れた住環境が求められるようになっている。子どもの成長や家族構成、生活スタイルに合わせて、すべての人が豊かで快適に暮らせる空間づくりの研究がテーマとなる。


住宅産業やインテリア産業で商品開発やアドバイスを行う仕事や、建設業で建築物の設計、都市計画に関わる分野だと学んだことを生かせる。また、公務員として住宅行政に取り組んだり、不動産分野に進む人もいる。

62.生活科学

「衣・食・住」全般を多角的に学ぶ

生活科学は、人間の生活に関わる具体的な問題を対象とし、「衣・食・住」を中心とする生活全体の快適性や、社会との関わりを視野に入れた幅広い学問である。被服学、食物学などの生活科学・技術領域、住居学、環境デザイン学などの生活環境領域、児童学、生涯発達学などの人間発達領域などが主な研究分野となる。

生活の中で起こる諸問題を解決に導くための学問

そのほかにも、家族や家庭の問題を社会学・経済学・法律などの観点から研究する生活経営領域、生活を文化的な側面から研究する生活文化領域、福祉的な側面から研究を行う生活福祉領域、情報化社会の中での家庭生活を考える生活情報領域、生活と産業・流通・消費の関係に焦点を当てる生活産業領域などの分野がある。学究的な側面と日常に関わる実学的な側面の両方からアプローチすることになる。


学習領域の広さから、進路はさまざまな職種、業種におよぶ。福祉行政部門などの自治体職員、消費者のトラブルの相談員など社会貢献度が高い職種や、消費生活に関わる民間企業、マスコミ関係まで幅広い。

スポーツ・健康系統 / 医学系統 / 歯学系統 / 薬学系統 / 看護・医療技術系統 / 保健・福祉系統 / 家政・生活系統

63.スポーツ・健康学

スポーツと健康を総合的に学ぶ

スポーツの競技者や指導者、トレーナーなどの競技スポーツに関する人材を育成するだけでなく、子どもから高齢者までの心身の成長や健康の増進を研究対象にする。さらに、スポーツ施設やスポーツイベントの運営・企画・マネジメントなどを学ぶこともできる。

学校体育、トレーニング科学、健康科学・スポーツ医学、社会体育に大別

研究領域は4つに大別される。「学校体育系」は、学校体育の教師の育成をめざす。「トレーニング科学系」は、競技選手、コーチ、トレーナーをめざす人が、コーチングや科学的トレーニング理論を学ぶ。「健康科学・スポーツ医学系」は健康の維持増進、スポーツ傷害の予防、リハビリ、保健衛生など医学的な分野も含めて、総合的な観点から健康とスポーツを研究する。「社会体育系」は、地域社会でのスポーツ指導者、スポーツインストラクター、スポーツ施設の運営などをめざすための専門知識や技能を学ぶ。


体育教師をめざしたり、スポーツ選手、コーチ、トレーナー、体育施設の指導員、スポーツクラブのインストラクターなど、才能を開花させる場は多岐にわたる。スポーツ用品メーカーなどの企業に就職する人もいる。