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作家
講義No.g009942
作家のメッセージを、「文体」から読み解く
言葉の機能を効果的に利用する
言葉は、文字の羅列ですが、人間の喜怒哀楽や性格まで表現することができます。私たちはこの機能を何げなく使っていますが、作家は注意深く、効果が出るように使いこなします。それが強く表れるのが、登場人物のセリフです。私たちが日常話すセリフは、余計な情報を含んでいて冗長(じょうちょう)ですが、芸術作品では徹底的に無駄を排除します。たとえ短い表現であっても、意味をスムーズに受け取ることができ、感動するのはそのためです。
表現を工夫して、感情や性格を表す
作家は、語尾の言い回しや文の構造などを、意図的に作っています。こんな例があります。あるアメリカの演劇に登場する女性は、セリフの中でTo不定詞を多用していました。この言葉の前後を見るとgotと強く結びついています。アメリカ東部では、got toは「~しなければならない」という意味になります。つまり、この言葉を何度も繰り返すことで、作家は女性の義務から逃げられない感情を表現したのです。
また、別の場所で登場する人物は、mustという言葉を多用します。mustには「~しなければならない」という意味のほかに「違いない」という意味があります。この人物はこの意味で語っていました。さらにこの人物はas if(まるで~のように)という言葉もよく使います。このことから、他者をよく観察して判断するという人物の性格がよくわかるのです。
時空を超えて文化を反映する物語
このように、感情表現や性格描写には作り手のメッセージが潜んでいます。このメッセージを効果的に伝える方法の研究を「文体」と呼びます。表現を受け取る側は、作り手が工夫した文体を読み解き、メッセージを正確に受け取る必要があるのです。
さらに文字で形成される物語には、文化が反映されています。時代や場所が異なれば、文化も異なります。芸術作品を楽しむことを通じて、時空を超えて、ほかの社会の文化を知ることもできるのです。