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講義No.g006996
時代ごとに変わりゆく「ユートピア」
タイムマシンで未来の世界に行ってみたら
もしタイムマシンがあったとしたら、あなたは未来に行きたいですか、過去に行きたいですか? 今でこそ、タイムマシンがどんなものか多くの人に知られていますが、初めて登場したのは、1895年にイギリスのH.G.ウェルズが書いた『タイムマシン』というSF小説でした。未来には理想の世界が待っているのか、行ってみたらどうだったのかを書いた作品です。ヨーロッパには、紀元前の哲学者プラトンの時代から理想的な都市や、望ましい政治や統治の形態とはどんなものかを考える「ユートピア文学」と呼ばれる作品が数多くありました。それらを読み比べると、各時代の社会が反映されていて、人々がどんな理想を描いていたのかがよくわかります。
ユートピア文学の代表的作品
プラトンは、「理想的な王を育て上げる仕組み」について語りました。また、ユートピア文学の代表的な作品としては、16世紀の大航海時代にイギリスの思想家トマス・モアが描いた『ユートピア』、イタリアでカトリック修道士として教会改革運動を行っていたカンパネッラが獄中で理想社会を描いた『太陽の都』、フランスの作家シラノ・ド・ベルジュラックが月に行く方法を書いた『月と太陽諸国の滑稽譚(こっけいたん)』、イギリスの哲学者フランシス・ベーコンが書いた『ニューアトランティス』などが、よく知られています。
ボードレールの詩とマティスの「楽園」との関係性
一方で、絵画の世界でも、さまざまなユートピアが描かれてきました。20世紀の画家マティスの作品には楽園をテーマにした作品が数多くあります。その中に『生きる喜び』とか『奢侈・静けさ・悦楽』という不思議なタイトルの絵があるのですが、これは19世紀のフランスの詩人ボードレールの詩からインスピレーションを受けて描かれたものです。このように、詩が絵画に影響するなど、文学、美術、さらに音楽は互いに大きく影響している部分があり、これらの関係性や境界領域について考えるのも興味深いものです。