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尿を電気で分離する?! 腎疾患をいち早く見つけ出せ!

講義No.11543

体内を安定した環境に保つ重要な臓器

 腎臓は、血液をろ過して不要な老廃物や塩分、水分などを体外に排出するという重要な役割を担っている臓器です。腎臓の内部には、毛細血管が球状に丸まっている「糸球体」と呼ばれる組織があり、体内を流れる血液はここでいったんろ過されます。糸球体で血液から分離された尿は「尿細管」という曲がりくねった管を通ります。その際、尿から体に必要な量だけの栄養素やミネラルが抽出され、血管に再び吸収されます。こうしたろ過と再吸収の仕組みによって、人間の体内は常に安定した環境に保たれています。

タンパク質の種類で原因を特定する

 腎臓の機能を検査する際、現在は、尿試験紙を使用して尿中のタンパク質の量が基準値より多いかどうかを検査する方法が広く用いられています。しかし、尿試験紙ではプラスかマイナスの判定しかできない上、腎臓に異常がない人でも直前の食事などの影響でプラス判定になってしまう場合があります。
 そこで現在注目されているのが、尿に電圧をかけてタンパク質を分離する電気泳動法を用いた検査です。これなら、分離されたタンパク質の種類によって、腎臓のどの部位に異常が生じているかをある程度絞り込むことが可能です。例えば、血液中に含まれるタンパク質が尿に多く出ていれば糸球体に異常がある、尿細管から再吸収されるはずのタンパク質が多く残っていれば尿細管に原因がある、などが推測できるのです。

腎疾患の早期発見へ

 電気泳動法を用いた尿検査が、自動分析装置と病態解析ソフトウェアの両方で整備され、一般的な健康診断の際に活用されるようになれば、腎疾患の早期発見につなげることが可能になります。特に、尿細管の疾患は遺伝による場合もあり、子どもの頃から発症する例も少なくないため、こうした尿検査による早期発見は非常に重要です。
 将来的に検査の精度がさらに向上すれば、検出可能なタンパク質の種類も増え、どの部位に異常があるか、より細かく特定できるようになるでしょう。

この学問がむいているかも臨床検査学、公衆衛生学

埼玉県立大学
保健医療福祉学部 健康開発学科 検査技術科学専攻 准教授
久保田 亮 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 高校時代には、興味を持ったことをいろいろ調べてみて、自分がやりたいこと、なりたいものを頭の中に描きながら、勉強してみましょう。思い描いたその目標がたとえかなわなかったとしても、それは無意味ではありません。いつかまた別の形で、かつての自分がやりたかったことやなりたかったものにつながるかもしれません。
 だから今は、できるだけいろいろな情報を集めながら、あなたのできる範囲で、たくさんの経験をしてほしいです。

メッセージ

 私はもともと臨床検査技師の仕事に興味があって、大学でもその分野について学びたいと考えていました。ただ、当時はそうした分野を学べる大学はあまり多くありませんでした。進学先に選んだ薬学部では臨床検査技師の資格を取れるコースがあったのですが、なんと入学後にそれがなくなってしまいました。ですが、卒業研究に取り組む際に、学外で研究をすることになり、その時お世話になった先生の研究を引き継ぐ形で、臨床検査の研究に携われるようになりました。

メッセージ

臨床検査技師(病院、健診センター、検査センター、保健所)/胚培養士/治験コーディネータ

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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久保田 亮 先生がいらっしゃる
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 埼玉県立大学は、保健・医療・福祉の「連携と統合」を目指し、学科を超えた地域活動・研究活動を行っています。多くの優秀な若者たち、明日の社会づくりの希望を持った若い力がいつかそれぞれの地域や職場で、あるいは世界のどこかで、高い志と豊かな感性、深い知識や技術を持って貢献できる可能性を秘めた人材として育っていけるよう全力で応援します。

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