夢ナビ

粒子の不規則な動きを予想! ランダムウォークの研究

講義No.11516

不規則の中に規則性が見えてくる

 不思議なことに、ランダムな粒子の運動をたくさん集めてくると規則性が見えてきます。この規則を使ってランダムな現象を予測する学問が統計学で、現代社会の様々なところで役に立っています。ランダムウォークの研究が進展すれば、難しい計算が必要であった数値を簡単に求めることができたり、様々な現象やデータに隠れている、普通の人が気づかないような傾向を見つけ出して将来を予測できるようになるかもしれません。

次元によって変わる動き

 相対性理論で有名なアインシュタインは、ランダムな粒子の挙動を表す方程式と、熱の挙動を表す方程式が同じであることを明らかにしました。つまり、ランダムな粒子の動きを調べることで、物体の熱の伝わり方がわかるのです。ランダムな粒子の挙動は、2次元と3次元では大きく異なることが知られています。そのため熱の挙動も2次元的な物体と3次元的な物体とでは挙動が大きく変わってしまいます。こういった現象は電波などの波動にも起こることが知られています。また、多様体と呼ばれる曲がった図形の上ではランダムに動く粒子なのにある方向に動きやすい、といったような新しい現象の解明が現在も行われています。

ランダムウォークの可能性

 ランダムウォークにはほかにもまだ研究が進んでいない問題が存在します。例えば川のように流れを持った空間の中で熱はどう伝わるのか、といった問題です。空間そのものに動きがあるため、熱が周囲から影響を受け、計算がより複雑になります。もし動きのある空間における熱のランダムな動きを予測できれば、ものづくりに役立つでしょう。エンジンのような複雑な構造をもつ物体の熱の伝わり方は、現場での経験や実験の結果に頼っている部分が多いのですが、ランダムウォークの研究が進展すれば、計算によるより理論的な予測に基づいたものづくりの可能性が広がります。

この学問がむいているかも数学

山形大学
理学部 理学科 数学コースカリキュラム 准教授
石渡 聡 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 勉強では興味があることを深く追究する姿勢が大切だと思います。周囲に言われて仕方なく取り組むよりも、あなた自身の興味関心から選んだ学びのほうが楽しいはずです。好きなことのためなら、必要な勉強にも熱中できると思います。周りの意見に流されず、「これをやりたい!」という気持ちを貫いて大学に来てください。
 また、数学は人と人とのつながりも大切な分野だと思います。ひとりで考えるのではなく、過去のデータやほかの研究者の発見を使って、ともに問題を解き明かしていきましょう。

メッセージ

 中学生の頃から、図形の証明問題をおもしろく感じていました。証明の方法は何種類もありますが、最後は必ず同じ答えにたどり着くからです。大学で数学を専攻し、グラフ理論を学んでからは、数値が連続していない離散的な現象にも興味を抱きます。図形や空間が変わったら粒子などの動きはどう変化するかを考えているうちに、ランダムウォークの研究にたどり着きました。抽象的な現象を計算によって解き明かせる点や、世界初の発見につながる可能性などに魅力を感じています。

メッセージ

教員(中学校、高校)/金融(銀行)/公務員(市役所)

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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石渡 聡 先生がいらっしゃる
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 山形大学は、東日本有数の総合大学であり、4つのキャンパスはネットワークで融合されています。社会のリーダーにふさわしい基本能力と幅広い教養を身につけるため、教養教育に力を入れています。大学運営の基本方針として、一つは、何よりも学生を大切にして、学生が主役となる大学創りをするということ、そしてもう一つは、教育、特に教養教育を充実させるという2点を掲げています。

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