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同種に見えてもまったく違う! 実は害虫だけではないハダニ

講義No.11483

害虫となるハダニは少ない?

 ハダニは、植物寄生性のダニで、一部は野菜や花卉、果樹の葉などを加害する農作物の害虫として知られています。しかし、日本に生息する約90種類のハダニのうち、害虫とされているのは10種程度であり、多くは人の目につかない森の中などに生息しています。

新種のハダニを発見

 ハダニの生態や分類に関する研究は主に害虫種に偏っており、森に生息しているハダニは未知の部分が多く、新種も次々に見つかっています。特に同種だと思われていた個体が実は別の種類だった、という事例が多くあります。例えばキンモクセイに寄生する「モクセイマルハダニ」は、以前はミカンやナシの害虫であるミカンハダニと同種だと考えられていました。しかしミカンから採集したミカンハダニは、キンモクセイでは飼うことができませんでした。そこでミカンに寄生していた個体とキンモクセイに寄生していた個体を交配させる実験を行ったところ、子孫ができないことがわかりました。その後、両者には形態にも違いがあることが分かり、キンモクセイに寄生するハダニはモクセイマルハダニという新種となったのです。モクセイマルハダニはモクセイにのみに寄生するため、通常は害虫として扱われていませんが、大量発生してキンモクセイの葉の色を白くしてしまうこともあるため、場合によっては街路樹の害虫となります。

害虫の認識は人それぞれ

 ハダニに限らず、害虫とそれ以外の線引きは人の立場によってさまざまです。例えばゲジという虫は、畑に発生するほかの害虫を食べてくれるため、益虫として重宝されます。しかし食品工場に侵入した場合、ゲジの脚が取れて異物混入の原因となりかねないため、害虫となってしまうのです。
 食品工場は害虫対策が求められる場所のひとつですが、衛生管理の観点から殺虫剤による駆除は好まれません。害虫の餌や隠れ場所を残さないようにこまめに掃除をするなど、発生源に応じた効率のいい対処方法が必要であり、食品工場における害虫管理システムの研究も進められています。

この学問がむいているかも農学

茨城大学
農学部 地域総合農学科 准教授
北嶋 康樹 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 若いうちに、何かひとつでも心の底から感動する経験をしてほしいと思います。私は小学6年生の頃、あこがれていた国蝶のオオムラサキを初めて捕まえて、全身が震えるような感動を覚えました。あのときの感動があったからこそ、昆虫学者として研究に取り組み続けることができていると実感しています。
 あなたもスポーツや勉強など自分のやりたいことがあれば、まずは一生懸命挑戦してみてほしいです。その中で一度でも感動を味わえば、将来の夢や学びたい分野が見つかって、人生が変わるのではないでしょうか。

メッセージ

 子どもの頃から昆虫が好きで、小学6年生の頃には「将来は昆虫学者になる」と思うようになりました。それ以来「決意したからには絶対にやめない」と強い意志をもって虫について学んできました。高校生の頃も昆虫採集が趣味であることを周りに隠しながら続けていました(笑)。現在テーマにしているハダニは、大学院の指導教授が勧めてくれた研究対象です。ハダニは新種が次々と見つかるため、研究するうちに面白さを感じるようになりました。他にも食品工場における害虫問題に注目し、管理システムの科学的検証などを進めています。

メッセージ

地方公務員(農業職)/教諭(高校)/農薬会社研究員/食品会社開発/害虫駆除会社技術職

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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北嶋 康樹 先生がいらっしゃる
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 茨城大学は、人文社会、教育、理、工、農の5学部からなる中堅的地方総合大学です。校地は水戸・日立・阿見の3地区に分かれており、各キャンパスとも学生を中心とした環境づくりを進め、教育研究施設の充実を図っています。幅広い教養教育と高度の専門教育により専門家として自立できる人材を育成するため、学部・大学院にて多様な学習の場を用意し、各分野で世界を先導する研究活動を推進しています。

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