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AIによる高度な画像認識を普及させるための課題は省エネ?

講義No.11462

画像認識には大量の演算が必要

 人工知能(AI)を用いた画像認識が高度になるにつれ、省エネの重要性が増しています。高精度な画像を認識するためには大量の演算が必要で、エネルギーを多く消費してしまいます。もしバッテリーで動く小型端末や車などに実装しようとした場合、エネルギー消費量を抑えなければなりません。
 AIによる画像認識では、人間の脳にあるニューロンという神経細胞をコンピュータ上で再現したニューラルネットワークが主流です。精度が落ちない範囲でニューロンを減らす「プルーニング」や、演算に用いる計算を簡単なものにする「量子化」など、さまざまな方法で省エネが試みられています。

小学生もわかる計算に

 中学生レベルの計算を小学1年生レベルに置き換えるなど、演算は簡単にすればするほどエネルギーを節約できます。例えばAIにとって負担の大きい掛け算を、「特定の数より大きいか小さいか」といった比較演算で表現できれば、省エネが可能です。ニューラルネットワークはいくつもの層が連結した構造になっており、各層で大量の掛け算や足し算などを行っています。具体的にどのように比較演算に置き換えが可能か、研究が進められています。

回路の工夫でエネルギーを節約

 回路を改良して計算速度などを上げるハードウェアアクセラレーションも、省エネには重要です。例えばニューラルネットワークはAIチップなど専用の回路を使えば処理が速くなり、省エネにつながります。
 一般的なコンピュータに搭載されている大きなプロセッサは、高度な計算が可能です。しかし複数の計算を並行して処理することは苦手なため、ひとつひとつ順を追って演算しています。一方AIチップには小型プロセッサが大量に並べられており、簡素化した計算なら並列に処理可能です。プロセッサを小さくすると簡単な計算しか行えませんが、必要なエネルギー量は少なくなります。また、いくつもの計算を同時に行えるため、結果的に処理速度が速くなるのです。

この学問がむいているかもコンピュータ理工学

会津大学
コンピュータ理工学部 コンピュータ理工学科 准教授
富岡 洋一 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 高校生のうちから「将来はこれをやりたい!」と明確な目標や進路を決めている人は少ないかもしれません。しかし毎日の生活に目を向けると、興味を持つような対象が見つかるのではないでしょうか。
 「こんな機械やシステムがあったらいいなあ」と想像するのも、立派な興味だと思います。さらに、どのような仕組みなのか、なぜ今はその技術が実現されていないのか、などを考えるとあなたの研究テーマにつながるはずです。ささいなことでもいいので好奇心を大切にして、大学での学びを深めてほしいと思います。

メッセージ

 子どもの頃はSFや工作が好きで、最新の機械などに興味を持ちました。その後コンピュータに触れ、回路の性能が上がるとさらに難しい計算がこなせることを知り、回路などについて詳しく学ぼうと工学を専攻しました。その後、画像認識などの精度が上がり、コンピュータでできることの幅が広がります。しかし便利な機能を活用するには、電力消費の多いパワフルなコンピュータが必要です。身近な機械に応用できないのはもったいないと思い、省エネを実現するためのハードウェアアクセラレーションを研究しはじめました。

メッセージ

IT企業AIエンジニア/IT企業システムエンジニア/ IT企業回路設計エンジニア

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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