夢ナビ

日本で、SNSに実名や自分の顔写真を使わないのはなぜ?

講義No.11423

プライバシー懸念

 日本のSNSユーザーは、欧米に比べてアカウントに実名や自分の顔写真を使わない傾向があります。インターネットに自分の個人情報をさらすことに抵抗を感じる=「プライバシー懸念が高い」要因のひとつに、日本社会の「関係流動性」の低さが挙げられます。日本は古い人間関係から離れられず、新たな関係性をつくりにくい社会なのです。反対に、欧米は対人関係を形成する選択肢が多く、見ず知らずの他者を信頼するスキルが養われます。しかし日本のように「関係流動性が低い」社会では新たな対人関係を形成する必要がないため、知らない人を信頼しにくく、他人に個人情報が渡ることにも強い警戒心が働くのです。

社会の関係流動性

 日本の関係流動性が低い要因は、社会構造に求めることができます。日本は「稲作文化圏」の国であり、水田で米をつくるためには、周囲の人と水や農道、道具を共有し、力を合わせる必要があるため、必然的に緊密なコミュニティが形成されます。また、台風や地震の多い日本の気候風土もコミュニティの結束を強め、結果的に関係流動性を下げています。調査の結果、中国や韓国、台湾といった東アジアの稲作文化圏の国々、モロッコやチュニジアといった砂漠の厳しい環境下にある北アフリカの国々でも、インターネット上に個人情報を公開しない傾向があることがわかっています。

文化的価値観を明らかにする

 心理学には、SNSを含むインターネット上のコミュニケーション、対人関係のあり方を研究する「インターネット心理学」という分野があります。また、その背景にある国や地域ごとの価値観をつかむためには、「比較文化心理学」の知識も用いられます。TwitterやFacebook、Instagram、TikTokなど今後も形を変えていくであろうSNSにおいて、コミュニケーションのあり方やその背景にある文化的価値観を学術的に明らかにすることは、今後のグローバル社会を考えるうえでも大きな意義があるといえるでしょう。

この学問がむいているかもインターネット心理学、比較文化心理学

北星学園大学
文学部 英文学科 講師
ロバート J. トムソン 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 大学を選ぶ際は、自分が情熱を持って取り組める課程をぜひ見つけてほしいと思います。もし、あなたがまだ情熱を持つ対象がないとしても、大学に入った後に、意識的に幅広い分野の授業を履修して、自分のパッションを探ってみてください。
 また、留学できる機会があれば、ぜひチャレンジしてほしいです。「海外は危ない」「費用が掛かる」という障壁は、あくまでも自分の頭の中にあるものです。各大学には留学支援の制度が整っていますし、実際に海外の人に接すると、人間の持つ本質的な温かさにも触れられるはずです。

メッセージ

 13歳の時、地元ニュージーランドの学校に日本人の生徒が転校してきたことが異文化に興味を持ったきっかけです。高校時代には交換留学生として1年間福岡で暮らし、大学で日本語や日本文化について学んだ後、日本とニュージーランドを行き来していました。また、この時期に自転車とスケートボードをもって世界一周の旅も経験しました。これまで学んだことや旅で得られた発見を整理してみたいという思いから大学院に進み、その後は日本の大学に移って比較文化やインターネット心理学といった分野で研究を続けています。

メッセージ

大手IT企業/マーケティング/航空会社

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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ロバート J. トムソン 先生がいらっしゃる
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