夢ナビ

ICTで農業を変革、それが「IoP」だ!

講義No.11411

危機的な状況にある日本の農業

 日本の農業の担い手は、高齢化が進んでいます。例えば農作業をするビニールハウス内は、作物の光合成を活性化させるため温度は30度以上にもなり、湿度も葉の気孔が開きやすい90%という高温多湿の空間です。高齢者にとって非常に厳しい労働環境となっています。また、農作物の成長には時間がかかるので、その都度試行錯誤しながらノウハウを身につけるには何十年もの時間を要します。農業経営体は年々減少傾向にあり、後継者不足の問題もあります。日本の農業は危機的な状況といえるのです。

ICTの力で農業の参入障壁を下げる

 農家と一口にいっても、大規模農業から個人や家族で営む家族農業まで、その規模はさまざまです。農作物の収量を上げて利益を増やしたいのか、無理せず家族が生活できるだけの農業を続けたいのか、農家によって考え方も異なります。また、経験の長い農家であれば、収量を増やす方法やコストを下げる方法についての知識と技術があります。しかし、経験の浅い農家にとってそれは非常に難しいことです。そういった農業の諸々の問題をICTの力を使ってサポートするのが「IoP(Internet of Plants)」です。

勘や経験頼みだった農業をサポート

 IoPでは人工知能(AI)や数理最適化の技術を用いて、集約された膨大なデータを活用し、これまで熟練者の勘に頼っていた部分をサポートします。例えば、「3週間後にこれだけの量を収穫したい」という場合に、肥料を増やした方がいいのか、気温を上げて光合成を促進させた方がいいのか、具体的にどう行動すればいいのかを明確にすれば、経験の浅い農家も効率的な農業が可能になります。高齢化の進む日本の農業において新規参入する農家の多くは40~50代ですが、経験を積んで経営が安定するまでには十年単位の時間を必要とします。IoPを活用することで、収益の増大や作業の省力化など、農家ごとの異なるニーズに応えられるようになるでしょう。

この学問がむいているかも農学、農業工学、AI

高知大学
IoP共創センター  教授
岩尾 忠重 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 授業で先生から教わった知識をうのみにするのではなく、「なぜそうなるのか?」を常に意識してください。数学も物理も原理が大事です。歴史でも「なぜその事件が引き起こされたのか?」という視点を持つことで理解が深まるでしょう。表面的なことを覚えるだけでなく背景を知ることで、より勉強がおもしろくなるはずです。
 日本の農業は人手不足ですが、産業という観点では競合の少ない「ブルーオーシャン」です。まだまだできることがたくさんあり、特にAI(人工知能)や数理最適化の知識が大いに活用できる、将来性のある分野です。

メッセージ

 実家が電器店を営んでいたこともあり、大学では電子回路について学びました。当時は第二次AIブームと呼ばれていた時代で、修士課程ではAIの研究に取り組んでいました。その後、企業に就職して、小さなものが連携して大きなシステムを動かす分散型AIの研究に取りかかります。この時代に学んだことは、技術があっても実用化されなければ意味がないということです。企業時代に大学と社会課題を解決するプロジェクトに参画したことをきっかけに研究者に転身して、AIを用いた農業の活性化についての研究を続けています。

メッセージ

企業、国立研究所研究員/農企業エンジニア

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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岩尾 忠重 先生がいらっしゃる
高知大学に関心を持ったら

 国公私立大 合同進学オンラインイベント「夢ナビライブ2021Web in Autumn」に、岩尾 忠重 先生が参加! 先生の講義ライブ動画を10月31日(日)までオンデマンド配信するほか、Zoomで先生に直接質問ができる「講義ライブ質問対応・研究室訪問」を10月3日(日)に実施。夢ナビライブは、600名以上の大学教授や200近い大学がさまざまなプログラムを実施する大型オンラインイベントなので、まずは「夢ナビライブ」で検索してください。

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