夢ナビ

ツイートから見えてくる、観光客と地域をつなぐ「共創」の力

講義No.11392

観光客急増の結果

 観光産業は世界中で拡大しています。新型コロナウイルスの感染拡大前の2019年は、全世界の観光客は14億6,100万人、前年比5,400万人増にもなり、日本においても訪日外国人の消費額がGDPの10%に迫る4兆8,135億円を記録しました。ただし、観光客が急増した地域では、交通機関や商店の混雑、ホテルの急増による地価の高騰といった「オーバーツーリズム」という現象が起こっています。また写真撮影や騒音、ごみなどに関わるマナー違反により地域住民の生活環境が乱されたことで、地域を離れる住民が出たり、外国人に対する排他的な感情につながったりするケースも見られます。

SNSのデータを解析

 オーバーツーリズムによる地域住民と観光客の関係悪化を解決するために、ビッグデータを解析する研究が行われています。Twitterを主な対象とし、「旅」「観光」といったキーワードが入った「ツイート」を抜き出して、「誰が」「誰と」「どこで」といった文章構造をもとにその内容を解析していきます。オーバーツーリズムの問題解決に生かすために、観光や旅に対してポジティブに表現したツイートを解析したところ、「交流」「共同」「一緒に」「参加」といった言葉が多く含まれていることがわかりました。

共創の価値

 マーケティングの分野では、提供者から受益者にモノではなくサービスが提供されることで市場が成立するという考え方を「SDL」と呼びます。SDLの理論を観光にあてはめると「観光とは観光業者または地域住民から、観光客にサービスが提供」されます。しかし分析からは、業者や住民から与えられるサービスではなく、観光客も参加して何かをつくり、体験するようなサービスのあり方が好意的に受け止められていることがわかります。こうした地域住民と観光客による「共創」は、観光サービスの価値をさらに向上させ、互いの間に存在する溝を埋めるカギとなる可能性があるのです。結果として持続的な観光が出来上がると考えられます。

この学問がむいているかも観光学、経営学、社会学

東海大学
国際文化学部 国際コミュニケーション学科 助教
李 昭知 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 今まで、さまざまな国を訪れましたが、海外と比較して日本の学生、若者はあまり海外に行きたがらない傾向があると感じています。私は、自分の知らない国や地域を訪れたり、海外で暮らしたりすることはとても楽しいことであり、また自分自身の視野を広げてくれると考えています。あなたもぜひ海外での経験を積んで、広い視野でものごとをとらえ、自分を成長させてほしいと思います。

メッセージ

 私は旅行をすること、特に海外旅行が研究であり趣味でもあります。生まれ育った韓国で大学を卒業した後も海外に出てみたいと思い、日本の大学院に進学しました。自分自身の経験を通して旅行や観光のすばらしさを実感する一方で、旅先で暮らす人たちと観光客との溝や対立も目にしてきました。観光客も地元に帰れば住民になり、住民も旅行に出れば観光客になります。両者が互いの立場に立って考え、よりお互いの価値を認め暮らせる社会をめざすために、観光学や経営学、AIによるデータ解析といった手法を応用しながら研究を続けています。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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