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地球の生態系の中心的役割を持つプランクトン

講義No.11368

縁の下の力持ち

 地球の表面積の約7割を占める広大な海洋には、魚類やエビなどの甲殻類のほか、多様な生物が生息しています。生き方の特徴を大きく分類すると「水中で生活する生物」と「海底で生活する生物」に分けられます。この中でプランクトンは、「水中で生活し、遊泳力を持たないか、あっても非常に弱く、ゆっくりとしか泳げない生物」に該当します。大きさの定義はなく、目に見えないバクテリアから40mを超えるクラゲまで幅広い生物が含まれます。また、プランクトンには、海洋の食物連鎖の起点にあたり光合成により自らの体を作る植物プランクトンやそれらを食する植食性の動物プランクトン、さらに動物プランクトンを食べる動物プランクトンもいます。これら以外にもバクテリアやウイルスなども生態系の中で重要な役目を担っています。種類・数ともに多いプランクトンは、海洋はもちろん地球の生態系を支える縁の下の力持ちなのです。

あらゆる海洋生物へ影響

 体長数mmの動物プランクトンは通常数カ月から約1年で一生を終えます。研究では、各海域で各時期にプランクトンがどのように生息しているのかを調べ、さまざまな解明に役立てています。例えば、静岡県の駿河湾はサクラエビが名産として知られています。近年は不漁に悩まされていることから、海中でエビを撮影して体長や数、産卵の状態などを観察し、原因分析のための情報が収集されています。こうしたエビの生息にも餌であるプランクトンの生態が影響するため、研究は重要な意味を持っています。

海の神秘を教えてくれる

 多種が存在するプランクトンですが、さらに新たな種類が発見されています。2014年には、ジャワ島沖のインド洋で、長年食用として漁獲されていたクラゲが形態などから新種として確認され、「アオヘルメットクラゲ」と命名されました。新種は同じ科のクラゲでは48年ぶりのことです。こうした発見は、地球上には未知の生物がまだ数多く生息するという可能性を示しています。そんな海が持つ神秘をプランクトンが教えてくれるのです。

参考資料
1:研究船「新青丸」でのプランクトン採集風景
2:東南アジアでの大型クラゲの遺伝子サンプル採集風景
この学問がむいているかもプランクトン学、海洋生物学

東海大学
海洋学部 海洋生物学科 教授
西川 淳 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 世の中は驚きに満ちています。物事に感動したり、自分の好きなことを追求したり、「知的好奇心」を大切に持ち続けてほしいと思います。多くの経験を重ねながら、焦らず、自分の好きなことをゆっくりと見定めていってください。
 今後はより一層、語学力が必要となる時代に入っていきます。語学は、交流ツールのみならず、文化や精神性など個々人のバックボーンを反映するものです。他言語に触れることで、この世界のさまざまな価値観の存在を認識し、その多様性を許容する姿勢につながっていきます。

メッセージ

 大学生の頃、イギリスの著名な海洋生物学者、アリスター・ハーディ博士の『THE OPEN SEA』という本に出合い、著者自身が描いたプランクトンの水彩画の挿絵に感動し、「こんなに不思議で美しい生き物がいるんだ」とすっかり魅了されてしまいました。当時はプランクトンのことはよく知らず、しかも英語の本でまったく読めなかったのですが、絵を眺めているうちに段々とこの奇妙で美しい形をした生物たちを研究する道に進んでみたいと思うようになりました。今でも、疲れたときにはこの絵を眺めて自分をリラックスさせています。

メッセージ

水産会社/水族館/調査会社/公務員/小売会社/食品会社/コンサルタント会社/大学院進学

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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西川 淳 先生がいらっしゃる
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