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日本文化は中国の古典につながっている~和漢比較文学~

講義No.11271

外国との文化的交流が研究のベースにある

 古代から、社会は各地でお互いに交流し合ってきました。そのことが「比較文学研究」の前提です。物質的にだけでなく精神的な、流行や文化芸術なども含めて交流し混ざり合った結果、現在の文化があります。対比によって互いの特徴を浮き彫りにする比較文学研究が始まったのはヨーロッパでした。
 比較文学研究の対象を東アジアに焦点を絞って見てみると、例えば日本と中国との間の文化的交流は6世紀あたりから活発になります。日本の古典は8世紀から12世紀にかけて執筆・成立したとされていますが、漢詩はその期間に日本で受容された古代中国文学です。

入ってきた表現が受容される流れをたどる

 比較文学研究の例をあげると、菊の花は中国から漢詩とともに平安時代に輸入されました。和歌でも詠まれるようになり、中世から近世へと続くうちにすっかりなじみ、菊の花が大陸由来であることは誰も気にしなくなっていきました。また、よく使われる四字熟語「花鳥風月」が登場するのは世阿弥の『風姿花伝』からで、平安時代に、漢詩の花鳥と風月を日本語でミックスしたようです。三文字の常套(とう)表現「雪月花」も白居易の漢詩に原典があります。中国から入ってきた言葉が、日本社会の内部で受容され、時間がたつうちに文化として血肉化していく流れの解明は、比較文学研究ならではです。

ほかとの比較によって見えてくる、背負った歴史

 和漢比較文学研究で常に課題となるのは、これまで解明されてこなかった日本文化の歴史、特に教科書などで知る文化の成り立ちとはちがう流れが日本にあったことを解明していくことです。多くの場合、歴史研究や思想研究との学際的な交流も参考になります。
 日本は島国で、文化も純粋培養されているとイメージされがちです。しかし、日本がほかの国々との交流の中でアイデンティティーを練り上げていったこと、他者との関わりの中でこそ、自分たちの文化がはっきりしてくるという視点は常に必要だといえるでしょう。

この学問がむいているかも和漢比較文学研究

フェリス女学院大学
文学部 日本語日本文学科 准教授
宋 晗 先生

メッセージ

 あなたが日本文化を深く理解したいなら、日本の古典文学と漢文との「和漢比較研究」をお勧めします。『土佐日記』や『古今和歌集』、『源氏物語』といった日本が誇る古典は、当時、国際的な文化のひろがりの中で、日本人が必死になってつくりあげたものでした。
 古典文学は普遍的と思われていますが、百年以上のスパンで見ると、文化そのものも、一定のコアを保ちながら変化しています。その流れの中に私たちもいて、未来の人々もその変化を受け継いでいきます。文化の交流や歴史のひろがりを考察するのが、比較文学研究です。

メッセージ

 高校生の頃から、世界中の文化の源には何があるのかということが気になっており、生涯かけて何らかの研究テーマを深めたいという思いも持っていました。大学では2年生頃までに多様な本を読みましたが、先生が古典文学の面白さを工夫して学生に教えてくださったことが、新鮮でした。それまで古典は私にとって敷居が高いイメージだったのです。文学や流行など、ついつい今のことだけに目が行きがちですが、各国に古典文学があり、源には変わらないものもあるのだと思い、古典文学を比較研究する研究者を志しました。

メッセージ

声優/テレビ業界/商社/書店員

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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夢ナビ編集部