夢ナビ

機構に制約のあるロボットに物を運ばせる工夫

講義No.11265

ロボットは重い物の移動が苦手?

 ロボットは本体の重さに対して力が強くないため、実はあまり重い物を持つことができません。ロボットの力を強くするためには本体を大型にする必要がありますが、それでは活動できる範囲が限られてしまいます。
 日本では少子高齢化が進んでおり、労働人口が減少していくと予測されています。そのためロボットにさまざまな物を持たせる研究や、組み立て作業などを行えるようにする研究が進められています。

動きの工夫で物を持つ

 力の弱い小型ロボットで重い物を動かす方法のひとつが、「グラスプレス・マニピュレーション」です。持ち上げるのではなく押したり転がしたりして動かす方法で、床面に物の重さを支えてもらうことができます。しかし床面から摩擦力を受けるなど外からの影響を受けやすいので、確実な操作を行うためには物体にはたらく力やロボットが与える力を解析しなければなりません。
 また、物の形に注目して簡単に持ち上げる方法としては「ケージング(囲い込み)」があります。ケージングはロボットで物を閉じ込めて、物が落ちないように支える手法です。リング状の物体であれば、輪の中にロボットの指を1本通すだけで対象物を持ち上げることができます。リング状の物体やバーベルのような両端がふさがっている物の移動にはケージングが向いていますし、重たい物体なら、物の下に手のひらを置いて支えたり、滑らせて移動させたりする方が簡単です。

動作を使い分けて組み立て作業を実現

 組み立て作業をロボットで自動化するときは、状況や対象によって、物体へのアプローチ方法を使い分ける必要があります。例えば部品の形に合わせて囲い込みによる持ち方をしたり、落とさないように掴む力を調整したりと、持ち方を選びます。一方、ネジのような小さな部品の位置を合わせるときや、ばらばらのパーツを組み立てやすい場所に移動させるときはグラスプレス・マニピュレーションが使われます。私たちの暮らしを支えるロボットには、こうした細かな動きの制御の研究が欠かせないのです。

参考資料
1:グラスプレス・マニピュレーションについて
2:ケージングについて
この学問がむいているかもロボット工学

福岡工業大学
工学部 知能機械工学科 助教
槇田 諭 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 私は機械工学分野への進学をめざしていたものの、高校では物理がとても苦手でした。それでも目標の進路に向かって頑張りたいと思っていたので、わからないことに対して「どうしてこの答えになるのか」と中学校で習った内容にまでさかのぼって勉強し、内容を少しずつ理解していきました。とても時間がかかる作業でしたが、勉強に取り組んだ分だけ力がついたと感じています。
 「できるまでやる」、という姿勢は受験勉強やその先の人生においてとても大切だと思います。あなたにも実践してもらえたらうれしいです。

メッセージ

 ロボットが身の周りの世話をしてくれる世界にあこがれを抱いていました。人間の仕事をロボットが手伝って共存するための研究がしたいと思い、大学に進学すると、機械の構造や動きのメカニズムなどを学んだことから応用のアイデアが浮かび、さらにおもしろさを感じました。研究では、すでに実用化されているロボットの動かし方を工夫することで作業可能な範囲を広げる方法を探っています。人間の手の動きにも注目しており、バレーボールのオーバーハンドパスの動作なども解析中です。

メッセージ

自動車会社技術者 / 電機メーカー技術者 / ロボット製造会社技術者 / 大学教員 / ソフトウェア会社システムエンジニア

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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槇田 諭 先生がいらっしゃる
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