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ドイツ語だからこそ表現できる恋心 言語を通して知る本当の異文化

講義No.11207

名詞に性の区別があるドイツ語

 ドイツ語は、英語と姉妹語と呼ばれるほど似た性質をもっています。また、発音がローマ字読みに近いことから、日本語話者にもなじみやすい言語です。一方で、日本語との大きな違いは名詞に性の区別があることです。例えばMond(月)は男性名詞、Sonne(太陽)は女性名詞、Universum(宇宙)は中性名詞というように、すべての名詞が男性・女性・中性のいずれかに属しています。

社会と言語の関係

 職業名など人を表す名詞は、ドイツ語では男性名詞が基本です。女性を表す場合はたいてい名詞に-inをつけます。例えば男子学生はStudent、女子学生はStudentinです。この形式の女性名詞は、男女平等の意識の高まりとともに増えていきました。さらに、近年では「彼」「彼女」「それ以外」のいずれの性の人も指しうる新しい代名詞が提案されるなど、よりジェンダーニュートラルな表現も生まれています。このように、一見すると現代社会に合わない点もある名詞の性ですが、だからといって今後はなくなる、と簡単に断言することはできません。なぜなら、言語とその言語を使う人々の認識や文化は、深く結びついているからです。

異文化を知ること

 ドイツ語圏の詩人ハインリヒ・ハイネの「寂しい松の木」という詩には「その松の木が夢見るは 遥か東の椰子のこと」という意味の一節があります。この詩をドイツ語の原文で読むと、松の木(Fichtenbaum)が男性名詞、椰子(Palme)は女性名詞であることに気付きます。そのことから、ある女性を慕う男性の思いが、ドイツ語ならではの表現として、間接的に描かれていると解釈できるのです。
 よく「異文化を知る」といいますが、それは単にコミュニケーションの手段としての言葉を覚え、情報を知ることだけではありません。その国、その地域に固有の言語の特徴を明らかにして、その言語圏の中で育まれてきたものの見方や価値観を知ることこそが、より深い異文化理解を可能にするのです。

この学問がむいているかもドイツ語学、ドイツ文学、ドイツ文化学

大阪公立大学※2022年4月大阪市立大学と大阪府立大学の統合による開学
文学部 言語文化学科 講師
信國 萌 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 外国の言語を学ぶ意義は、異文化を知ることにあります。そう聞くと、その国に留学しなければいけないと思うかもしれません。しかし、留学は一つの手段であり、目的ではありません。留学先で得られるものもあれば、日本にいるからこそ理解できることもあります。
 また、話すことが得意な人や、読むことが得意な人など、その人の特性に合った学び方もあるはずです。「~しなければならない」というような考えではなく、「私は~がしたい」という意識をもって、自分の進路を選んでほしいと思います。

メッセージ

 漠然と「外国語はかっこいい」という思いがあり、また両親が大学時代にドイツ語を学んでいたことから縁を感じて、大学ではドイツ語を専攻しました。ミヒャエル・エンデの児童文学が好きで、ドイツ文学にも魅力を感じましたが、より客観的に分析ができそうなドイツ語学を選択すると、これが自分の性に合ったのか、やればやるほど楽しく感じました。以来、「もう少し知りたい」という思いで目の前の課題に取り組んでいるうちに、気付けば今に至っています。自分が何を好きになるかは、実際にやってみなければわからないものだと思います。

メッセージ

商社/銀行/メーカー/放送局/旅行会社/医療機器会社/美術館/学習塾講師/教員(中学校、高等学校)/官公庁(府庁、市役所)/(大学院進学を経て)大学教員

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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信國 萌 先生がいらっしゃる
大阪公立大学※2022年4月大阪市立大学と大阪府立大学の統合による開学に関心を持ったら

 2022年4月、大阪市立大学と大阪府立大学を母体に「大阪公立大学」が誕生します。1学域・11学部の幅広い学問領域と大学院を含め約1万6千人の学生を擁する、全国最大規模の公立総合大学となる予定です。規模を拡大しつつ、これまで同様、学生と教職員の自由闊達な環境で教育を行います。基幹教育と高度な専門教育を有機的に結び付けた複眼的視点を持ってあらゆる問題を俯瞰的かつ直観的に見通す力を培うことで、グローバルに活躍できる高度人材を育成します。

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夢ナビ編集部