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フランス社会にとっての「表現の自由」とは

講義No.11037

シャルリ・エブド襲撃事件

 フランスでは2015年に風刺週刊誌「シャルリ・エブド」の編集部がイスラム過激派に襲撃され、多数の人が死傷した事件がありました。これはイスラム教預言者の風刺画の掲載を宗教の冒涜(ぼうとく)だととらえたイスラム過激派が起こしたテロ行為とされています。この事件の直後にはフランス全土で犠牲者を追悼する大規模なデモが行われ、数年後には公判開始に合わせて「シャルリ・エブド」が再び預言者の風刺画を掲載しました。これらは、表現の自由を抑圧される動きに過剰反応を示しているとも、得た権利を死守するための行動ともとれます。

歴史から見た表現の自由

 1789年の人権宣言の中で「思想と意見の自由な伝達」を権利として獲得し、1881年に制定された「出版の自由に関する法」により出版の自由(表現の自由)が確立されました。つまり、自由の国という印象の強いフランスでも、表現の自由を勝ち得るのには約100年もかかったのです。
 しかし、フランスは第二次世界大戦中の1940年にナチスドイツの占領下に置かれ、自由にものが言えない時代を経験します。さらに1954年に始まったアルジェリア戦争では、フランス本国の一部であるとされていたアルジェリアが独立を訴えて内戦状態に陥りました。この時、フランス国内でも独立の賛否が分かれ、自由な意見を交わすことの難しさを経験しています。

表現の自由は無制限なのか

 こうした歴史的な経緯から、フランス社会には表現の自由に対する強い信念が根付きました。豊かな芸術が花開くのも、表現の自由が土台にあるからかもしれません。ただ、風刺画も表現の自由のひとつですが、風刺は強いものに対する抵抗の表現であり、マイノリティで弱い立場の人たちに向けるものではないという批判も成立します。また、宗教や価値観を冒涜するような表現までもが、無制限であるべきなのでしょうか。これはフランスだけではなく、日本でも人々の共生のためには考えなければならない問題です。

この学問がむいているかもフランス現代史、歴史学

南山大学
国際教養学部 国際教養学科 准教授
中村 督 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 ほとんどの大学は、勉強においてはかなり自由です。自分が専攻した学部以外の授業を受けることもできるし、他学部の先生に話を聞きに言っても拒否されることはないでしょう。ですから、もし高校生の時にやりたいことがはっきりと分からなくても、大学で学ぶうちに見つけても構わないのです。それができるのが大学の良いところです。
 全てパーフェクトで、全戦全勝なんてあり得ません。15勝13敗くらいを目指してやっていけばいいのではないかと思っています。

メッセージ

 みんなが知らないことを調べて文章を書くことが好きでした。なぜこの人はこういう行動を取るのだろうと考えるのが面白いので、探偵になりたいと考えたこともあります。それにくわえて、満員電車に乗らず、スーツを着ないで働ける職業に就きたいとも思っていました。ひとりの人について調べて文章にまとめ、定時に出勤しなくてもいい、周囲が納得してくれる職業としては研究をする大学の先生しかない気がしたのです。現在は、フランスの歴史を紐解きながら、フランス独自の社会がどうやって作られているかを研究しています。

メッセージ

マスコミ/外資系コンサル/銀行/電気メーカー/食品メーカー/航空関係/観光業/地方公務員/大学院進学

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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