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史料を読み解くと見えてくる! 中世イタリアの政治とは

講義No.11029

小さな共同体から大きな物語へ

 イタリアで始まったルネサンスは、豪華絢爛(けんらん)な文化が花開いた時代、というイメージを抱かれがちですが、この時代は自治都市や農村部の小さな共同体の人々が政治の主人公として活発に動いていたことがわかっています。また、「グェルフ」「ギベリン」などと呼ばれる党派も、次第に都市や国家の政治に関わっていくことになります。都市や村の共同体や地域のつながりといった小さな現場を追うことで、政治や軍事といった、教科書で紹介されるような大きな物語をひもとくことにつながります。

家畜を巡る争いから知る国家の苦悩

 地域で起こった出来事を記録する「年代記」の中に、羊や牛などの家畜が盗まれるという事件が記されていることがあります。一見小さな出来事のように思えますが、チーズや羊毛という価値の高い製品を生み出す家畜は大切な財産です。家畜を奪われた側が奪い返しに行ったり、別の争いが生まれたりして地域の紛争が拡大しますが、争いを解決する努力も生み出されます。このような地域で起きた争いは、中央権力が介入し、取り締まることがとても難しい時代でした。14世紀のミラノを中心とした国でも、地域のグェルフとギベリンによる党派同士での平和をなんとか作ろうと試みている姿が読み取れます。

史料から読み解く、当時のルールや暮らし

 現地の史料には、当時起こった戦争や反乱、そして日常のいさかいなどに関係する記録が残されています。それらの史料を読んでいくと、争いをどう解決し、争いから生み出された諸問題にどう立ち向かっていたのかということもわかります。また、地域の「公証人文書」も大切な史料の一つです。例えば、羊の放牧を委託する契約など当時の土地や財産に関する情報が記されています。その地域のローカルなやりとりを通して、数百年前の人々がどのように暮らしていたか、またどんな人間関係を築いていたかを知ることができるのです。

この学問がむいているかも歴史学、ヨーロッパ史学、中世史学

甲南大学
文学部 歴史文化学科 教授
佐藤 公美 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 たくさんの史料を読み続けると、繰り返し同じ人の名前を見かけることがあり、「この人を知っている」という不思議な感覚に陥ります。史料に記載されている人物の名前というだけでなく、その頃、どんな生活をしていたかということが立体的に浮かび上がってくるのです。さらに、具体的に判明した個人の姿を通して、当時の社会のあり方というものもわかってきます。それまで名前の無かったものが生きたものへと変わる瞬間は、何度経験してもうれしいものです。あなたも共に学んで、そんな経験をしてみませんか。

メッセージ

 高校生の頃から、歴史が大好きでした。当時からイタリア史に絞っていたわけではありませんでしたが、古代ローマ史やイタリア・ルネサンスなどは、興味を持っていた分野の一つでした。同時に、それ以前から「人間が自由で平等な世界を実現するにはどうすればよいのか」という素朴な疑問を持ち続けていました。次第に人間同士が議論し、ルールなどを決めていく政治の文化にも関心が湧いてきたため、自治の歴史に深く関わる「ヨーロッパ中世史」を研究しようと決めました。

メッセージ

大学教員(非常勤)/大学事務職員/図書館司書/自治体職員/銀行員/IT技術者/会社事務 など

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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 国際都市・神戸に位置する本学では、建学の理念「人物教育の率先」を教育の原点とし、ミディアムサイズの総合大学だから実現できる、学部を越えた融合型教育で優れた人材育成を実践しています。現在、岡本(神戸市東灘区)・西宮(西宮市)・ポートアイランド(神戸市中央区)に3つのキャンパスがあり、8学部14学科の多彩な学びを展開。また、全学部の学生がグローバル教育を受けられる融合型グローバル教育や共通教育科目の充実により、異なる学部の学生同士が自然につどい、刺激し合い、融合する学びのフィールドが実感できます。

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夢ナビ編集部