夢ナビ

熱から電気をつくる 地球に優しいセラミックスの可能性

講義No.10991

環境問題への関心から注目が集まる熱電材料

 自然界に存在する地熱や産業分野で発生する廃熱の多くは有効に利用されていません。地球環境問題への関心が高まる中、世の中にある未利用熱エネルギーを電気エネルギーに変換する材料に注目が集まっています。その熱から電気を作る材料は「熱電材料」と呼ばれ、なかでもセラミックスは大きな可能性を持った材料です。セラミックスと聞くと、陶磁器などの焼き物を思い浮かべるかもしれませんが、実は電子機器の部品にも使われる材料で、私たちの生活を支える重要な役割を担っています。

効率の悪いセラミックスを効率の良い材料に

 熱電材料は、およそ200年前に発見された「ゼーベック効果」という、材料の両端に温度差を与えると、その両端間に電位差が生じるという現象により発電します。金属から見つかったこの効果は、すべての材料で生じるのですが、材料によって電位差、つまり起電力が異なります。材料の発電性能を上げるためには、起電力を高くすることの他、電気を流れやすくすること、熱を伝わりにくくすることが必要です。現在使用されている発電性能が比較的高い材料は、高温に弱く、また人や環境にとって必ずしも良いとはいえません。高温に強く、かつ有害な元素を含まないセラミックスはどちらかというと効率の悪い材料ですが、高温でも使用でき、人体に優しく安全な材料です。地球や人に優しいセラミックスを改良することにより、効率良く熱を電気に変換できる材料が望まれています。

熱の伝わり方を制御して発電性能の向上に成功

 材料の中に温度差をつけることで起電力を得るので、熱が伝わりやすい材料だと、温度差があってもあっという間に均一になってしまい、発電しない状態になります。熱の伝わり方を制御することが課題の一つでしたが、セラミックスを作るときに固体内の化学反応を利用して、セラミックスの中の結晶構造をわざと乱れさせ、熱を伝わりにくくすることにより、発電性能を上げることに成功しました。

この学問がむいているかも材料工学、応用化学

三条市立大学
工学部 技術・経営工学科 准教授
橋本 英樹 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 三条市立大学は、2021年4月に開学した工学部のみの単科大学です。真新しいキャンパスには、学生が集うスペースが多くあり、ものづくりについての議論がしやすい環境です。
 企業との関係も深く、2年生から企業実習が始まります。産官学の協力体制も密接なので、働く準備や自分の進路をイメージしやすい大学です。民間企業でどのように研究をするのかを大学にいるときから学ぶことができるのが強みです。即戦力を生み出す最新の実験設備も整っており、あなたがものづくりに興味があるならピッタリの大学です。

メッセージ

 小中高と理科が好きで、実験することに関心がありました。特に化学反応を伴う実験に興味があり、ずっと実験室で実験する仕事をしたいと思っていました。大学1年生の授業で、セラミックスが身近な材料で、今後研究していくと、更なる高機能化が期待できる面白い材料だと知りました。材料研究で社会貢献したかったので、2・3年と進むにつれて、セラミックスに関連する授業を中心に時間割を組んでいました。セラミックスに関わって30年ぐらい経ちますが、研究しがいのある材料と巡り会えたと思っています。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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橋本 英樹 先生がいらっしゃる
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 国公私立大 合同進学オンラインイベント「夢ナビライブ2021Web in Autumn」に、橋本 英樹 先生が参加! 先生の講義ライブ動画を10月31日(日)までオンデマンド配信するほか、Zoomで先生に直接質問ができる「講義ライブ質問対応・研究室訪問」を10月2日(土)に実施。夢ナビライブは、600名以上の大学教授や200近い大学がさまざまなプログラムを実施する大型オンラインイベントなので、まずは「夢ナビライブ」で検索してください。

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