夢ナビ

心臓病の患者を救いたい 心臓移植について

講義No.10983

心臓が十分に働かない心不全

 心臓は、血液を体中へ送り出すポンプの働きをしています。ところが心不全の状態になると、ポンプの機能が落ち、十分に血液が送り出せなくなります。心不全は、個別の病名ではなく、心臓の機能が弱くなることにともなう症状の数々、症候群を指します。心不全が起こる原因は、弁膜症や心筋梗塞などさまざまで、疲労感やむくみ、動悸(どうき)などの症状があります。心不全が重くなり、有効な治療方法が見つからない場合には、心臓移植という治療法が考えられます。

心臓移植の歴史

 世界で初めて心臓移植に成功したのは1967年、南アフリカでバーナード医師の手によるものでした。それ以来、手術の精度・術後管理が向上し、すぐれた免疫抑制剤「サイクロスポリン」が開発されたことで移植後の成績が上がってきました。「国際心肺移植学会」の統計によると世界では年間5500~6000例の心臓移植が行われています。
 日本では、1968年に心臓移植が行われましたが、その際にいろいろな問題が発生し、しばらく停滞する時期がありました。その後、1997年に臓器移植法が成立、1999年には大阪大学で、臓器移植法に基づく初めての心臓移植が行われ、日本における心臓移植の本格的な幕開けとなりました。

これからの心臓病治療を考える

 心臓移植を受けるためには、日本循環器学会へ申請し、適応と認められる必要があります。その後、24時間にわたる強心剤の点滴や補助人工心臓の装着などの治療を受けながら、移植まで待機します。心臓移植については移植した後の拒絶反応、術後管理、ケアなど、多方面から研究が続けられています。
 一方、心不全の人は年々増えており、移植を待つ人は900人を超えています。そのため、重度の心臓病の患者を救うためには、移植だけではなく、心臓の再生医療など、別の視点からの治療法も研究されています。重度の心不全の人が元気に長生きできるよう、さまざまな可能性を求めて、日々研究が進められているのです。

この学問がむいているかも医学、薬学、看護学

大阪大学
医学部 保健学科 看護学専攻 教授
上野 高義 先生

メッセージ

 医療系の学部をめざす人には、高校時代に「自分がやりたいことは何か」を考えてほしいと思っています。医学部なら「どうして医学部に進むのか」を考え、「こんな医師になりたい」という目標を持ってください。医療に関わる仕事はかなりハードなものです。それでも、自分に明確な思いと目標があれば続けていくためのモチベーションが保てます。
 命を救い、患者を支える現場で何をしたいのかを考え、さらに、どうしたら人々が幸せに暮らしていける社会にしていけるのかを考えてみませんか。一緒に医療の道を進んでいきましょう。

メッセージ

 高校時代から生物が好きで、将来は生きものに携わる仕事がしたいとぼんやりと考えていました。最終的には、人間に関係するような仕事をしたいと思い、医学部に進学しました。外科医となり、多くの心臓移植を行っています。特に小児の心臓病を専門としていますので、生まれてすぐの赤ちゃんにも手術をします。赤ちゃんの頃に手術をした子が元気になっていく姿を見るのは本当に嬉しいです。治療のタイミング、手術、術後のケアまで、すべてがうまく運び、患者さんが健やかな生活を送れる治療を行うために研究を続けています。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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 自由な学風と進取の精神が伝統である大阪大学は、学術研究でも生命科学をはじめ各分野で多くの研究者が世界を舞台に活躍、阪大の名を高めています。その理由は、モットーである「地域に生き世界に伸びる」を忠実に実践してきたからです。阪大の特色は、この理念に全てが集約されています。また、大阪大学は、常に発展し続ける大学です。新たな試みに果敢に挑戦し、異質なものを迎え入れ、脱皮を繰り返すみずみずしい息吹がキャンパスに満ち溢れています。

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