夢ナビ

民俗学的アプローチによるデザイン研究

講義No.10966

個性的なデザインワークの鍵となる「民俗学」

 商業デザインで大切なことのひとつはオリジナリティです。ほかにない個性的なデザインにするために、民俗学的アプローチというアイデアがあります。特に日本古来の伝承や伝説から生まれたもの、歴史上の出来事、その土地や住んでいる人々の暮らしに受け継がれた風習などを、現代の文化やアートに取り入れるのです。

人気漫画に多い民俗学のモチーフ

 民俗学をベースにしたデザインワークのひとつにキャラクターデザインがあります。近年人気の高い漫画やアニメには、想像上の妖怪や神様、伝説など民俗学を取り入れモチーフにしたものが多く見られます。例えば大ヒット漫画『鬼滅の刃』のキーワードは「鬼伝説」です。敵が鬼であるのはもちろん、主人公の仕事は炭焼きで、山の中で火に関わる仕事は、民俗学的にたどっていけば鬼のルーツにぶつかります。鬼のツノや鋭い爪、鬼火をまとうなど、古くから日本で伝承されてきた「鬼」をイメージしやすくなっているのも特徴的です。見た目のデザインだけでなく、コンセプトに基づいて、ルーツをひもとき、歴史的背景や民俗学的な考証を生かすことで、キャラクターのデザインに理由が生まれ説得力が増すのです。

土地の歴史や伝承をイベントアートに取り入れる

 日本では、古くから全国各地でその土地の歴史や伝承に基づいたお祭りやイベントが開かれ、現代に受け継がれています。民俗学的なルーツをたどりながら、現代のスタイルのイベントに生かす試みです。例えば、「デイダラボッチ」という巨人伝説が残るある地方のイベントでは、農業用シートで全長7mの巨人を作って膨らませました。東京都武蔵野(むさしの)市の商店街のイベントでは、地元の自然文化園で飼育されていた名物ゾウにちなんで、ゾウのオブジェを作ってパレードが行われました。その土地の伝承や歴史を取り入れることで、イベントに参加する地域の人々にも親しみを持って楽しんでもらえるイベントアートになっているのです。

この学問がむいているかもデザイン学、民俗学

帝京平成大学
人文社会学部※2022年度より、名称変更予定 人間文化学科 メディア文化コース 講師
竹中 義明 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 デザインに限らず、今の世の中で、誰も考えつかないまったく新しいものはほとんど存在しません。私は「みんなが進む道には何も残らない」と思っています。多くの人が行くあとからついていっても、そこに新しいものはありません。
 しかし、古いもの、伝承されてきたものでも、伝え方次第では新鮮な気持ちで見ることができます。そのため、今まで自分が興味を持っていなかったものに踏み込んでみると、何か発見があるかもしれません。あなたには、そういうチャレンジをしていってほしいと思います。

メッセージ

 父が手先の器用な人で、いわゆる「ものづくり」というものには幼い頃から触れて育ちました。その影響もあってか、美術大学に進み、大学院を出たあとは専門学校で講師をしながらアート活動を続けました。あるとき、民俗学者の宮本常一先生の民具のコレクションを見て、民俗学に興味を持ちました。民具や玩具など古いもののなかに、逆に新しさを感じ、インスピレーションを受けたのです。そして民俗学というモチーフを得たことは、自分のデザインワークの大きな武器になりました。

メッセージ

広告制作会社デザイナー/映像制作会社ディレクター/ゲーム制作会社デザイナー/漫画家

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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夢ナビ編集部