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現実の世界では、「1+1=2」になるとは限らない?

講義No.10960

算数で習う「1+1=2」

 小学校で習う算数では、「1+1=2」になると教わります。こうした考え方で、重さや長さ、確率など、1つの集合に1つの数値を対応させることを「加法的集合関数」と呼びます。「1+1=2」になるのは当たり前」と受け止める人がほとんどかもしれませんが、現実の世界には、1+1が必ずしも2にはならない現象が、実はたくさん存在します。

1+1が2にならない現象

 例えば、古本屋さんでは、ある小説の上巻だけ、あるいは下巻だけの値段より、上下巻2冊セットの方がプレミアム価格として高い値段に設定されている場合があります。逆に、オンライン書店であるマンガを買おうとする時、1巻ずつバラ売りされている場合の値段より、全巻セットをまとめ買いで購入する場合の方が、値段が少し安くなっている場合もあります。このような値付けの例は、「1+1=2」という考え方では数学的にうまく説明できません。
 プレミアム価格やまとめ買いのような値段を数学的に説明する場合には、加法的集合関数ではなく、「非加法的集合関数」と呼ばれる理論を用いる必要があります。これらの現象には人間の持つあいまいな性質が密接に関わってくるので、行動経済学など、ほかの研究分野の理論も含めて、横断的に考えていく必要があります。

人間の複雑さを許容して考えていく

 人間の複雑な行動を分析して、その数学的な性質を解明していくことには、分析ツールにコンピュータやAI(人工知能)を駆使したとしても、難しい面が数多くあります。おそらく、人間が自分たち自身の行動を完全に理解できるようになることはないでしょう。その複雑さを、ある程度は許容して受け入れていく部分が必要なのかもしれません。「1+1はなぜ2になるのだろう」「1+1が2にならない数学も、もしかしたら作れるかもしれない」、私たちの周囲を取り巻く世界を理論的に説明しようとするとき、そんな視点も求められるのです。

この学問がむいているかも数学

玉川大学
工学部 数学教員養成プログラム 教授
成川 康男 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 学校で教科書を読んでいて、「おかしいな?」「しっくりこないな?」と思うことは、結構あるはずです。そう感じるところには、問題やテーマなど、新しい価値を持ちうるものが埋もれている場合がとても多いのです。自分自身の感覚を大切にして、「おかしいな?」と思ったら、そこを掘り下げてじっくり考えてみてください。
 そうした経験を自分自身の中で大切に温めておくと、将来、大きな進歩に向けての第一歩につながるかもしれません。

メッセージ

 大学時代、数学を専門に学んでいました。当時、ファジィ理論という考え方が世間でも大流行していて、その総本山とも言える先生のもとで学んでいたので、車の自動運転など多様な分野での応用について、色々と得難い体験をさせていただきました。一時のブームの後も、ファジィ理論は名を変えて世の中のさまざまな場面で活用されています。ファジィ理論は今までの常識を疑うことが根本にあります。私はそこから、非加法的集合関数に関する理論と応用の研究に携わっていくようになりました。

メッセージ

小学校教員/中学校教員/高等学校教員/教育関連会社員

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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成川 康男 先生がいらっしゃる
玉川大学に関心を持ったら

 国公私立大 合同進学オンラインイベント「夢ナビライブ2021Web in Autumn」に、成川 康男 先生が参加! 先生の講義ライブ動画を10月12日(火)までオンデマンド配信するほか、Zoomで先生に直接質問ができる「講義ライブ質問対応・研究室訪問」を10月2日(土)に実施。夢ナビライブは、600名以上の大学教授や200近い大学がさまざまなプログラムを実施する大型オンラインイベントなので、まずは「夢ナビライブ」で検索してください。

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