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大学を出ても仕事がない! 新興国を経済的に追い詰めるものとは?

講義No.10926

チュニジア産オリーブオイルが「スペイン製」に

 オリーブオイルの生産・輸出国の第1位はスペインで、イタリアやギリシャがこれに続きます。こうしたなか、北アフリカのチュニジアはオリーブオイルの生産量が2015年には世界第2位、2020年には世界第3位の輸出国となりました。しかしチュニジアで生産されるオリーブオイルの約88%は低付加価値の原材料として輸出され、その多くがスペインやイタリアで現地のものと混ぜてボトリングされ、「スペイン製」「イタリア製」として世界に輸出されるのです。オリーブオイルから、チュニジアが抱える問題が見えてきます。

高学歴なのに仕事がなく鬱屈する若者たち

 チュニジアは、教育に力を入れ経済成長をめざしていましたが、主にEU向けの安価な商品を生産し、産業構造が高度化していないため、高学歴の若者に対して十分な正規雇用の受け皿がありませんでした。さらに長期独裁政権の汚職や不正が横行し、政権批判は弾圧されるなど、仕事を求める若者たちの抱える鬱屈(うっくつ)が、2010年、民主化運動(革命)を引き起こしました。
 しかし、革命後も産業構造は変わらず、低付加価値、低賃金、低生産性という「負のスパイラル」に陥り、リゾート地として人気だった観光業はテロやコロナ禍の打撃を受けています。なかなか景気が上向かない現在の日本との共通点がうかがえます。チュニジアで起きていることは、私たちと無関係な遠い国の話ではないのです。

フェアトレードは割高なのか?

 私たちは質がよく安いものを好んで買いますが、それは裏を返せば生産国での低賃金や過酷な労働を肯定していることになります。「SDGs(持続可能な開発目標)」の先駆者であるEUにも、大義名分に矛盾する側面があるのです。こうした貿易の不平等、不公正を改め、途上国の原料や製品を適正な価格で購入しようという「フェアトレード」の取り組みが行われています。「理論経済学」の一つの分野である「新興国経済論」では、経済格差や貧困、経済開発のあり方について研究が進められています。

この学問がむいているかも理論経済学、新興国経済論

駒澤大学
経済学部 経済学科 講師
山中 達也 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 高校生のあなたが今、大学で何を学べばいいのかよくわからなくても当たり前だと思います。たくさんの情報に触れているうちに、ささいなきっかけから自分の関心がわかってくるものです。関心のあることがみつかったら調べて、その分野の先生が書いた本や資料を読んでみましょう。これは違うと思ったら、別の分野のことを調べていく柔軟性も必要です。
 大学は入ってからが重要です。たくさんの出会いを求めてください。学びのチャンスは生涯にわたってあるので、選択肢を狭めずに生きることを今から意識しましょう。

メッセージ

 深い考えもなく選んだ商学部でゼミの恩師と出会って、人生が大きく変わりました。中東・アフリカの政治経済が専門の恩師のもとで、パレスチナ問題やアメリカの軍需産業、途上国の貧困問題などを学び、不平等について考えるようになりました。社会人として1年働いた後、大学院で学びたい気持ちが強くなり、ゼミの先輩がマダガスカルで計画していた鉱物資源のフェアトレードの現場を取材しました。これが転機となり、恩師に中東・アフリカのさらなる現状を見るよう勧められて、チュニジアに約3年留学。研究の道に進むことになりました。

メッセージ

インフラ会社プラント調達/IT企業システム開発/メーカー営業/マーケティング会社営業など

大学アイコン
山中 達也 先生がいらっしゃる
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 駒澤大学は、2020年で開校138周年を迎えました。その豊かな伝統を守りながら、時代の状況に即した改革を行い、7学部17学科を擁する総合大学となりました。本学の特徴は、緑ゆたかで広大な駒沢オリンピック公園に隣接する閑静な環境にあり、全学部の学生が4年間を、ひとつのキャンパスで学習していることです。そのため、学部の垣根を越えて、充実した教育システムが用意されています。そして、近年の就職不況のなかにあっても、毎年高い就職率を誇っています。

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