夢ナビ

「おいしい」生薬の見分け方を科学する

講義No.10777

漢方薬の品質維持に重要な「匠」の存在

 生薬(しょうやく)とは、植物の根や葉、鉱物、動物などの薬効(薬の効き目)を持つ部分のことです。身近なものではショウガやハッカ、トウガラシなどがあります。よく耳にする漢方薬は、複数の生薬を決められた分量ずつ配合して作られます。私たちは普段、野菜や果物を買うときに、見た目や鮮度などからおいしそうなものを選びます。同様に漢方薬も、“おいしそうな=高品質な”生薬を使って製剤した方が薬効も高くなると考えられています。この生薬のよしあしを見極めているのが、生薬問屋などに所属する匠(たくみ)のような人たちです。

まだよくわからないことが多い生薬の世界

 匠は長年の経験や勘に基づいて、生薬の見た目や匂いなどから五感を使って品質を見極めます。しかし高齢化や後継者不足で匠の数は減少していて、このままでは漢方薬を正しく後世へ伝えていくことが難しくなるかもしれません。そこで匠の見分け方を科学的に検証し、誰もが良質な生薬を選べるよう選別基準などを確立する研究が進められています。しかし、生薬に含まれる成分の分析は可能でも、特定の成分がたくさん入っているからよく効く薬になるかと言えば、実はそうとは言えません。

未来へ漢方薬を伝えていくために

 例えば、アンズの種子・キョウニンと、モモの種子・トウニンには共にアミグダリンという物質が多く含まれます。しかし、生薬としてのキョウニンは咳を鎮める、トウニンは血の巡りをよくするというように薬効が異なります。このように生薬の特定の成分を調べても、薬効との因果関係がわかりにくいことは多々あります。匠が選ぶ生薬と同じ品質を担保するために、何を指標にどういう基準で示せばよいのか、解明する研究はまだ道半ばです。しかし検査や分析の技術は日進月歩で発展していて、今後、「おいしい」生薬の見分け方も解明されていくでしょう。
 東洋医学の漢方薬をこれからも治療の選択肢の一つとして後世に伝えていくためにも、生薬の科学的な分析には重要な役割があるのです。

この学問がむいているかも薬学

兵庫医療大学
薬学部 医療薬学科 教授
青木 俊二 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 薬学にはさまざまな専門的分野が存在し、それらを総合して「薬学」と呼んでいます。薬の開発だけをみても非常にたくさんの工程があるので、一人ですべてを完成できるというものではありません。つまり、いろいろな人たちが工程の一部にたずさわっているのです。それくらい薬学は間口の広い学問だということを知っておいてください。あなたが少しでも薬学に関心があるなら、その中からさらに深く興味を持てる分野がきっとみつかると思います。自分の今の興味を大切にして、薬学の世界に飛び込んできてください!

メッセージ

 私は、子どもの頃から、体の仕組みや、薬がなぜ効くのかということに興味がありました。幼い頃は、山や池で虫やカエルを捕まえて解剖したり、飼い犬のご飯にこっそりワインを入れて「ほろ酔い」にしてしまったこともあるほど好奇心旺盛でした。子どもの頃に自然に慣れ親しんだことも、今の研究に結びついているのかもしれません。また、私自身が、ひどい喘息(ぜんそく)で、その発作を抑えるのに助けられたのが漢方薬でした。こうした経験から大学は薬学部に進学し、天然の物を扱う「生薬学」の研究室を選んだのです。

メッセージ

薬学研究者/薬剤師

大学アイコン
青木 俊二 先生がいらっしゃる
兵庫医療大学に関心を持ったら

 本学は、医師の養成に長年の実績を持つ兵庫医科大学の併設兄弟校として、医療系3学部を擁する医療の総合大学。兵庫医科大学病院をはじめとした医科大学附属施設での充実した臨床実習や、医学部も含めた4学部合同でともに「チーム医療」を学ぶ学部合同科目を軸とした教育プログラムにより、今医療現場で求められている「チーム医療」を担う医療人を育成します。

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