夢ナビ

幼い子どもとデジタルの、ビミョーな関係に切り込んでみよう

講義No.10769

幼い子どもとデジタルメディア

 今やデジタルメディアは、家庭の中に急速に入り込んでいます。それとともに、乳幼児がスマートフォンで動画を視聴したり、ゲームで遊んだりといった光景も見受けられるようになりました。研究の進んだ海外では、生後18カ月未満の子どもにはデジタルメディアは、教育的メリットはないとされています。そのため、例えば離れて暮らす家族と交流できるテレビ電話はいいが、それ以外はなるべくやめるようにと、研究者から提言されています。一方、北欧やイギリス、オーストラリアなど、いくつかの国では、幼稚園でデジタルやIT機器をどう扱い、触れさせればいいかについての研究報告もあります。

デジタル機器との望ましい出会いとは

 日本では長らく、幼い子どもはデジタル機器に触れさせるべきではないという考え方でした。生まれて初めてデジタル機器に接する「出会い方」は大切です。本来なら教育の現場で、学習や表現のためのツールとして初めて触れるのが理想ですが、そうはいきません。場合によっては「デジタル=娯楽」や、何か我慢した後のごほうび的なものという認識がなされる可能性があります。そうではなく、はさみやクレヨンと同等に、自分の道具の一つとしてデジタル機器があると認識されるのが望ましいでしょう。

環境整備に必要な大人たちの協力

 参加型のデジタル絵本というアプリがあります。発育段階に応じた内容で、例えば自分の声を吹きこんだり、写真を撮ったり、レイアウトを考えたりできます。読むだけでなく「絵本を作る」発想で、創造性を育む目的で作られています。このような、デジタル機器の有効的な使い方を目標に、より良いあり方を提言し、さらに保育の現場に広める必要があります。
 大人たちは幼児教育や幼児の発達を理解したうえで、何が子どもの発育により良い影響を与えるかを考えることが大切です。研究者と保護者、保育の現場、メーカーの人々といった、デジタルメディアに関わる大人たちと連携して、慎重に、幼児教育の中のデジタル環境を整えていくべきなのです。

この学問がむいているかも教育工学

愛知淑徳大学
人間情報学部 人間情報学科 教授
佐藤 朝美 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 「教育工学」というジャンルは、大きく2つに分かれます。自分で何かを作って評価する分野と、すでに存在するデジタルなどを用いて、活動をデザインしそれを評価する分野です。教育工学で、幼児教育を対象とした分野は、日本ではまだ歴史が浅く研究者も少数です。
 私は大学まで文系で、就職後に専門的な内容をマスターし、システムエンジニアとして働きました。人間に関することに文系も理系もありません。情報をめぐる諸領域を流動的に研究でき、大変面白くてやりがいのある分野です。興味があるなら、ぜひ一緒に学びましょう。

メッセージ

 大学では西洋史を学びましたが、就職後はシステムエンジニアとして約6年働きました。出産で退職したあとはWebサイトを作ったり、Photoshopに触れたり、子ども向けインタフェースデザインを勉強しました。育児中、デジタル機器を触る我が子に「触らせて良いのかしら」と思ったのが、幼児とデジタルメディアとの関わりを研究しようと考えたきっかけです。メディアアートで遊ぶ子どもの感情や、発達にかかわる部分で何が起こっているのか、どのような影響があるかに興味が湧き、教育工学で子どもを対象に、研究を続けています。

メッセージ

IT企業(システムエンジニア)/教諭(小学校)

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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佐藤 朝美 先生がいらっしゃる
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 愛知淑徳大学は、9学部13学科11専攻を擁する総合大学です。「違いを共に生きる」の理念のもと、常に新しい時代に対応できる人材の育成をめざし、独自の学びのシステムを展開しています。実社会で生かせる力や資格取得を目標とし、多様な知識と技術を身につける「全学共通教育」と、学部・学科ごとの専門分野を追求する「専門教育」で、高度な専門知識と実践力、豊かな人間性を養います。総合大学のメリットを生かし、学部・学科の枠を超えて学べる教育環境も整備。学生一人ひとりの学ぶ意欲に応えます。

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