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金属ナノ構造化技術で色を自在に制御する 〜金はなぜ金色か?〜

講義No.10725

色はどう決まるのか

 日常には多彩な色があります。炎のように自ら光を出すものは、光そのものが色として目に入り、光の振動数により低い順に赤・橙・黄・緑・青・藍・紫の色に見えます。これらは赤・緑・青という光の3原色の組み合わせで成り立っており、3つを合わせた色は白になります。
 一方で自らは光を出さない物体は、光の反射により色が見えています。赤いリンゴは、赤い光を反射するので赤に見えます。別の視点で考えると、3原色の緑と青の光が物質に吸収されているともいえます。吸収される色の補色(混ぜると白になる残りの色)である赤色が結果として反射しているとも考えることができるのです。

金はなぜ金色?

 金属には自由電子があり、光が当たるとそのエネルギーを受けて自由電子が光と同じ振動数で動きます。電子の振動エネルギーは同じく光として放出されるので輝いて見えます。電子がどれくらい速いスピードまで振動できるかは、金属の種類によって限界があります。「金」の場合、緑の光より速い振動はできません。つまり緑より振動数が高い青は反射しないため、その補色となる黄が目に見える色(金色)となります。
 金属をナノサイズの粒子にすると、電子の振動は空間的な制約を受けます。そのためゆっくりとした大きな振動ができなくなりナノサイズの金は赤も反射できなくなります。その結果、緑だけ反射します。粒子は小さいので反射する面がなく、緑の光は散乱・散逸します。金のナノ粒子は白から緑をなくしたマゼンタ色に見えます。

紀元前から使われていた金属ナノ粒子

 実はナノ粒子は紀元前からガラスに混ぜてステンドグラスなどに使われてきました。現在は、ナノスケールで金属の構造を制御し、光に対する応答性を自在に変えられます。例えばスマートフォンなどのカメラに金属膜のナノスケール構造を作って吸収する色を制御すれば、薄い金属膜1枚でより鮮やかな色の表現ができるようになります。光と電子を扱う学問「プラズモニクス」は、生活を便利にする製品を生み出す可能性を秘めているのです。

この学問がむいているかも応用物理学、光工学

静岡大学
工学部 電子物質科学科 准教授
小野 篤史 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 高校で学ぶ教科が本当に役に立つのかと考えることもあるかもしれません。しかし、大学や社会では、高校で学んだことの多くを使っています。例えば、光を考えるときには数学の三角関数や物理を駆使します。最先端の研究をするために世界中の論文を読むので、英語は必要不可欠ですし、成果を公表するためには国語力も求められます。私の研究は主に光物理ですが、有機材料の化学反応なども利用しているため化学の基礎知識も必要です。高校の勉強というのは、素養を身につけるためにも大切で、あなたの将来の人生の選択肢を広げてくれます。

メッセージ

 私は高校生の頃から、数学が得意で理科が好きという理系人間でした。そこで、化学も生物も物理もできる工学部の応用自然科学科に入学して、興味のある分野を探そうと思いました。大学で授業を受けていると、次第に光に対して興味を抱き始めます。特に、金属をナノスケールにすると色が変わるという性質を不思議に感じ、物理的な追求とともに、それを制御できたら面白いことができるのではないかと考えました。今までの金属についての常識を覆すようなものを提案して、新たな技術の実現につなげていきたいと思っています。

メッセージ

電気機器技術系/自動車産業技術系/自動車産業研究員

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小野 篤史 先生がいらっしゃる
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 静岡大学は、6学部19学科と全学横断型教育プログラム「地域創造学環」を擁する総合大学のメリットを生かし、学生の知的探究心に応えることができる幅広い学問領域の教育を実施しています。大学のビジョンは「自由啓発・未来創成」であり、これは自由によってこそ自己啓発を可能にし、それを通じて、平和かつ幸福な未来を創り出すとの力強い思いを表明しています。

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