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波や風があっても大丈夫! 海上でロボットを制御する方法とは

講義No.10703

揺れる海の上でのロボット制御

 ロボットや機械の多くは地上で使われます。海上で使うロボットを制御するシステムはまだ発展途上にあります。例えば海底油田の採掘といった海洋開発を行う際、作業現場として「海洋プラットフォーム」という構造物を設営します。海には波があり、海洋プラットフォームは常に揺れています。加えて、海上は強風が吹くこともあります。前後左右上下に揺れ動くこうした場所でのロボットの制御は、格段に難しいのです。

問題によって座標軸は変わる

 揺れる海上でロボットを制御する際、問題によって設定する座標軸は変わります。海洋プラットフォーム上での作業を行う場合は、プラットフォームに固定した座標軸を基準に、海洋観測機器の海中での深度などを制御する場合には、座標軸を海底、つまり地球に設定する問題として制御することになります。
 波や風は、大きさも向きも常に変化します。その不確かさを含めてどのような動きになるかを大きく想定し、多少異なっても対応できるようにします。これを「ロバスト制御」といいます。あるいは、状況に応じてその場で制御方法を変える「適応制御」という方法もあります。ロボットの形状や仕組み、使用する場所によってこうした制御を使い分けるのです。制御方法を考え、それを数学的に検証したうえでシミュレーションし、実験できるものは実験を行い、その設定で安定するかどうかを確かめていきます。

増加する海洋開発で求められる技術

 今、海洋資源採掘や洋上風力発電といった、海洋開発の現場は増えつつあります。制御が難しいため、アームロボットやクレーン、水中ドローンなどの操作は、オペレーターという技術職、つまり人間が行っています。もし無人でロボットや機械が作業を行うようになれば、より安全な現場となり、生産性や作業効率も向上するでしょう。そのためにも、海上での制御システムの確立が求められているのです。

この学問がむいているかも海洋システム制御工学

東京海洋大学
海洋資源環境学部 海洋資源エネルギー学科 教授
戸田 勝善 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 高校で勉強していると、「数学がなんの役に立つの?」と思うこともあるでしょう。でも、工学や経済学などでは本当に役立ちます。数学に限らず、どの分野の学問も、必ず人生を切り開いてくれるものになります。学ぶほど、世界が広がり、問題を発見して解決する力や、論理的な思考力につながります。何より人生を豊かにしてくれます。
 単に覚えるものとして学ぶより、そうした視点から学べば、きっと楽しくなってくるでしょう。たとえ今はそう思えなくても、この先役立つときが来ます。その日のために、ぜひたくさん勉強してください。

メッセージ

 中学・高校時代から数学と物理が大好きで、強みを生かせる学部へ行きたいと思い、機械工学を選びました。大学で出会った自動制御の研究が非常におもしろく、卒業後は大学院で農業用ロボットの制御の研究に携わりました。そして、東京海洋大学で勤務することになったことを機に、水産での機械制御の研究に取り組みました。当初はまだ海上の制御に関する研究は少なかったので、水産に限定せず、海洋工学全般へと研究の幅を広げていきました。今後は海上の作業員の安全のために、一日も早い実用化に向けた取り組みをしていきます。

メッセージ

機械メーカー技術職

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戸田 勝善 先生がいらっしゃる
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 東京海洋大学は、全国で唯一の海洋にかかわる専門大学です。2大学の統合により新しい学問領域を広げ、海を中心とした最先端の研究を行っています。海洋の活用・保全に係る科学技術の向上に資するため、海洋を巡る理学的・工学的・農学的・社会科学的・人文科学的諸科学を教授するとともに、これらに係わる諸技術の開発に必要な基礎的・応用的教育研究を行うことを理念に掲げています。

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