夢ナビ

ヒートショックを防げ! 危険度判定システムの開発

講義No.10639

冬に起きる「ヒートショック」

 冬の住宅内では、暖房のある部屋と暖房のない廊下や浴室などでは温度差が大きくなります。寒い部屋に入ると体がブルブルと震えるのは、筋肉で発熱するとともに血管を縮めて血流を減らし、熱を逃がさないように調整しているからです。この時、血管が縮むことで血圧は急上昇します。反対に暖かい場所に移動すると血管は広がり、血圧は急低下します。この血圧の急変動が心筋梗塞や脳梗塞などを引き起こし、これをヒートショックと言います。特に冬場では居間と脱衣所、浴槽の湯の温度差が大きいために、ヒートショックが原因と思われる溺死事故が発生しています。

温めたり冷やしたりしながら血管の拡張や収縮を撮影

 ヒートショックを起こす危険度を判定するシステムの開発が進められています。鍵となるのは血管の収縮拡張機能で、その観察に使われるのは近赤外線撮影の技術です。近赤外線は可視光よりも皮膚を透過しやすい一方で、血液中のヘモグロビンには吸収されます。そのため、近赤外線を照射して画像を撮影すると、血管が黒く写し出されるのです。この撮影方法は医療だけでなく、ATMの生体認証方式などにも広く利用されています。これに手を温めたり冷やしたりする機能をプラスして、温度を変化させながら撮影を行うことで、温度変化による血管の収縮拡張状態を見るという仕組みです。

予防に役立てる

 まずはこのシステムを使ってより多くのデータを集め、ヒートショックを起こしやすい人の血管の特性を導き出します。その上で、将来的には健康診断時などにこのシステムで自分の体質を知ってもらい、ヒートショック予防に役立ててもらうことが目標です。
 このようなシステムは、目的の現象を引き起こす生体的な原因を突き止め、その原因を測定できるように既存の機器の組み合わせを考えて開発を進めていきます。機器を組み立てる機械工学の知識だけでなく、回路を考える電気工学、画像処理を行う情報工学、病気を知る医学、生体に関わる生物学など、学問を横断した広い知識が必要です。

参考資料
1:夢ナビ研究室紹介(2021)
この学問がむいているかも医用生体工学(生体医工学)

高崎健康福祉大学
健康福祉学部 医療情報学科 講師
髙橋 大志 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 何かを生み出すには、そのことに関する知識をどれだけ理解できているかが重要です。理解がなければ物を作ることはできません。もちろん座学は必要ですが、実験や実習の中でどれだけ知識が身についているかを確認すると、本当の意味での勉強になります。
 そして、理解した知識をどのように生かすかを考えることが大事です。暗記は試験のための対策であって、人生を豊かにはしません。人生を豊かにするために必要なのは、知識を役に立てられるような考え方を持つことであり、実際に動いてみることがとても大切です。

メッセージ

 子どもの頃から機械いじりが好きで、いろいろなものを分解して遊んでいました。一方で、親が看護師だったため、手足を失った方のリハビリ風景を見ていました。小学生の頃、パワースーツ開発のドキュメンタリーを見て、義手や義足などの人体を代替する装置を作ろうと決意しました。高専で機械について勉強した後、工学部の生物機能工学科に進学しました。こうした装置の開発では、金属を削ることも、動物実験も、たんぱく質の解析もこなさなければいけません。現在は「なんでも屋」として新たなシステム作りに挑んでいます。

メッセージ

医療(診療情報管理士、医療事務)/ソフトウェア開発企業/医療機器卸会社/データセンター一般/食品会社製造

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髙橋 大志 先生がいらっしゃる
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