夢ナビ

「森のようちえん」の教育的効果とは?

講義No.10635

屋外で学ぶ「森のようちえん」

 デンマーク発祥の「森のようちえん」は、自然を活用し子どもの主体性を大切にする幼児教育を行う団体です。森のようちえんが子どもに与える影響として、心身の発達促進などが期待できます。例えば、活動場所が屋外なので、運動量が増え体力が向上します。また、既存のおもちゃではなく枝や土など自然の中にあるものを使うので、遊び方を考える想像力が豊かになります。活動内容や遊びのルール作りなどについて友だちと意見を交わす場面も多いので、コミュニケーション能力や協調性も身につきます。

レジリエンスを育む自然保育

 森のようちえんは日本全国に約200ありますが、さらなる普及のためにも教育的効果を学術的に立証することが求められます。そこで2019年に、森のようちえんを卒園した子どもの保護者と、通常の幼稚園や保育園を卒園した子どもの保護者にアンケート調査を実施しました。調査項目は自尊感情のほか、レジリエンスと呼ばれる粘り強さやポジティブさ、立ち直る力などです。すると森のようちえんを卒園した子どもは自尊感情やレジリエンスが高いという結果が得られました。ただ、家庭環境など子どもに影響を与える要因はほかにもあるため、今後も継続した調査が必要です。

安全管理と主体的活動

 自然保育では安全管理も大切です。教育者はリスクとハザードという2種類の危険に対応しなければなりません。リスクとは、子どもの挑戦にともなって生じる教育的意義のある危険です。例えば調理中に包丁で指を切るといったことです。これは道具の扱い方に気をつければ子ども自身で回避できます。一方、ハザードは川の増水など子どもには避けようがない危険です。そのため、現地の下見や情報収集などの安全管理が重要です。
 森のようちえんは安全を確保した上で、子どもたち自らが主体的に活動できるよう、カリキュラムに余白を持たせてあります。このため、教育者がすべてを決めることなく、活動場所や内容も子どもたちが話し合って決めるなど、柔軟性の高い保育を提供できるのです。

この学問がむいているかも教育学、幼児教育学

上越教育大学
学校教育学部 学校教育研究科 准教授
山口 美和 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 もし、あなたが進路に悩んでいるなら、高校3年生で人生のすべてを決める必要はないと肩の力を抜いてください。私自身、一度は別の道を歩んでから研究者となりました。学ぶ気になれば、大人になってからでもチャンスがあるはずです。まずは興味のある分野に飛び込んでみて、大学生活や社会人生活の中で将来の道を考えてもいいと思います。
 例えば私が携わる幼児教育は、子ども自身が遊びを通して学び探究する姿を応援する分野です。子どもたちが持っている力を信じ引き出していくことに興味を持ったら、ぜひ飛び込んできてほしいです。

メッセージ

 子ども病院の看護師を経て、幼児教育の研究者になりました。教育の研究に携わるようになったのは、病気だけではなく、子どもという存在が生まれながらにもっている可能性について深く考えたいと思ったからです。幼児教育は人生の土台を作る大切な分野ですし、子どもたちが好奇心や疑問に自ら働きかけて学んでいく点に魅力を感じました。2015年には長野県における自然保育認定制度の創設に携わり、子どもたちが自然の中で生き生きと学ぶ姿に心を動かされました。現在は、「森のようちえん」の教育的効果などを研究しています。

メッセージ

保育所保育士/幼稚園教諭/小学校教諭/認定こども園保育教諭/官公庁一般事務

大学アイコン
山口 美和 先生がいらっしゃる
上越教育大学に関心を持ったら

 上越教育大学は、人間的な視野と総合的視野に立ち、21世紀の教育を担う中核的指導的な教員の養成をめざしています。トップクラスの教員採用率を誇り、全国各地から学生が集まっています。これからも教員の育成と現職教員の研鑽の場を提供していくことは不変です。そして教育は子どもの心を豊かに育て、国を支えます。

TOPへもどる