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人と家畜が食料を奪い合う? 家畜の生産性を高めるには

講義No.10252

家畜の餌が人間の食料と競合

 家畜の餌は、生産者にとって大きなコストがかかるものです。鶏(ブロイラー)であれば、餌代が総コストの約70%を占めます。総コストの約15%はヒナの仕入代なので、農家の収入はわずかしかありません。また、餌として使用されるトウモロコシや大麦、小麦、大豆などは人間も食べるので、同じ農産物を人間と家畜で奪い合う関係になっているのです。異常気象などで飼料が原料不足となり、価格が高騰したらどうなるでしょうか。

昆虫のミズアブを家畜の餌に

 そこで、人間と家畜が競合しない餌の研究開発が行われています。そのひとつが、昆虫のミズアブの幼虫を餌とする方法です。この昆虫は、食品残さ(食品由来のごみ)や家畜の糞(ふん)などで養殖することができ、タンパク質や脂肪などの栄養価が高いのが特色です。大量に養殖するにはどうするか、家畜が好んで食べるようにするにはどんな工夫が必要かという課題はありますが、今後の発展が期待されています。
 一方で、既存の餌の栄養吸収を高める研究も行われています。ひとつは、餌に混ぜて使う、栄養吸収を高めるためのサプリメントの開発です。解剖学的なアプローチもあります。鶏の腸管には栄養吸収をする絨毛(じゅうもう)があり、その長さや厚みによって栄養吸収が変化します。よい卵、肉を生産できる栄養吸収に優れた腸管とはどういうものかという研究が行われています。

静電気を利用してダニを防除

 家畜の生産性を高めるには、生育環境も重要です。その中で害虫の被害に対しては、学際的な研究が行われています。例えば、鶏舎で発生するダニ被害に対して、防除のために殺虫剤を使う方法がありますが、多用すると耐性菌によって薬が効かなくなります。そこで考えられたのが、ダニが静電気に集まるという性質を利用して、静電気を帯びたトラップ(わな)で防除する方法です。この方法は、すでに農家で活用されています。このような取り組みは、家畜の媒介で起こる人間に対する感染症を防ぐという効果もあります。

この学問がむいているかも畜産学、食料生産学

香川大学
農学部 応用生物科学科 准教授
松本 由樹 先生

メッセージ

 牛や豚、鶏をじっくり観察したことがありますか? 動物の形に注目し、内部を立体的に観察して、その形がもつ機能を動物間で比べると、形と機能が絶妙に連動し、健康な体型を維持して、良質な動物性タンパク質を作り出していることがわかるようになります。さらに、畜産物の生産現場では生産効率をいかに向上させているかということや、食品ロスなどの社会課題との関係にも気づきます。
 ぜひ、香川大学農学部で動物が身近にいる暮らしを体感して、あなたらしい気づきを発揮してください。

メッセージ

 小さい頃、ヒヨコから育てたニワトリを飼っていたことがあります。動物に興味があり、大学に進学して家畜解剖学に出会いました。この学問は比較解剖学とも言われ、例えば空を飛ぶ鳥類と飛ばない鳥類は解剖学的に何が違うのかを考える、といった学問です。担当の教授の話が面白くて、のめり込みました。そして、動物を見る観察眼が鍛えられました。家畜を考える場合「気づき」が大切ですが、そのためには、実際に動物や家畜環境をじっくり観察することが必要です。

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