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災害や復興、多文化共生社会でも注目されている「地域社会学」

講義No.10082

有事の時に重要になるのは、地域の力

 東日本大震災では、未曾有(みぞう)の被害により、復興のための都市計画などに時間がかかった市町村は少なくありません。そんな中で早い復興を実現したのが、住宅の約9割が被災した宮城県女川町(おながわちょう)です。スピーディーに復興できた理由は、地域の住民力があったからです。女川町は震災前から地域の連携が盛んでした。行政任せではなく、住民同士で意見を出し合ってまとめ、要望を提出したことで、住民の意向に沿った形での復興に成功したのです。
 今、地域の役割がますます重要になり、再注目されています。有事のときほど、地域のあり方が大きく影響します。住民同士が対立したり、交流がなかったりする地域は、災害時や復興時に対立が顕著になることや、方向性が決まらないことがあるのです。

想定外のことが起きる現代

 今は、想定外の自然災害が起きる時代です。東海地区では、南海トラフ地震が30年以内に70~80%の確率で発生するといわれています。防災は、地域の力が非常に重要になっています。愛知県は海抜ゼロメートル地帯が多数あり、名古屋市の一部地域でも津波被害が懸念されています。命を守るには、正しい知識と情報をもつことが重要なのです。地震や災害の科学的な研究は世界に誇れる日本ですが、地域社会で住民と行政が協働しながら総合的に取り組んでいくことが必要とされています。

多文化共生、高齢化といった課題も

 地域が抱える課題は災害だけではありません。外国人が増えたことによる多文化共生や、超高齢社会への対応などが問われています。地域の問題を考える「地域社会学」によって、表面化していない隠れた課題や、支援するための手法などが見えてきます。
 社会のニーズや、地域に貢献する機会は増えています。国際比較も含めた検証などにより、広い視野で社会を見つめ、より良い地域社会とは何かを考えることが大切です。地域社会学により、効果的な活動のサポートや、問題解決を図ることも可能になってきます。

この学問がむいているかも社会学、地域社会学、災害社会学

椙山女学園大学
文化情報学部 文化情報学科 教授
黒田 由彦 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 ちょっとした善意は誰にでもあり、その善意を持続するための学問が「社会学」です。小さな善意が実現したら、どんな社会になるか想像してみてください。
 あるときアメリカで、子どもが一人のホームレスに不要な毛布をあげました。でも、ほかにもホームレスはたくさんいます。彼は「どの家にも不要な毛布はある」と思いつき、彼の小さな善意は不要な物を社会に活かす活動に発展していきました。行政がその思いに応え、NPOというしくみをつくりました。社会学を通じて、社会貢献や社会の問題、その解決の方向性が見えてくるのです。

メッセージ

 大学進学時に興味があったのは心理学でしたが、集団・組織に着目して社会の動きを分析する社会学の方が面白そうだと感じて選択しました。最初は理論の勉強ばかりでしたが、「本ばかり読んでないで社会の現実と向き合え」と説く恩師と出会いました。町に出て社会を見ると、「なぜこの問題が起きるのか」という疑問が湧いてきますが、本で学んだ理論で説明がつくことがわかり、研究の面白さに目覚めました。社会学から地域を見ると、隠れていた問題が発見でき、社会貢献につながることを実感し、今の研究につながっています。

メッセージ

物流事務/不動産営業/ITシステムエンジニア/自動車メーカー事務/農協総合職

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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黒田 由彦 先生がいらっしゃる
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 椙山女学園大学の起源は、明治時代に創設された女学校にあります。日本が真に伸展するためには、女子教育を向上させ、女性がもつ力を社会の中で生かすことが不可欠と信じ、時代に即した先進的な学びに取り組んできました。そのスピリットは今に受け継がれています。いつの時代も揺ぎない一人の人間としての価値観を育み、凜と生きるしなやかで逞しい力を養成する女子総合大学ならではの豊かで多様な学びが、ここにあります。

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夢ナビ編集部