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「ヒト」と「イヌ」は、見つめ合って仲良くなった!?

講義No.07801

どうしてヒトとイヌは特別に仲が良いのか?

 古代からヒトはイヌと仲良く生活を共にしてきました。なぜイヌは、ヒトと特別な関係を形成できたのでしょうか。「動物行動学」では、この理由を科学的に解明しようとしています。これまでの研究で、ヒトが指をさしたものにイヌが敏感に反応するのはわかっていました。また動物の世界では相手の直視は威嚇のサインになりますが、例外的にヒトは見つめ合う行為を親和的なサインと受け止めます。これらのことから、ヒトとイヌの絆を作り出しているのは「視線」や「見つめ合い」がカギになっているのではないかと、さまざまな研究が進められています。

目と目が合えば幸せホルモンが増加

 研究では、ヒトとイヌの視線が合う行為によって、「幸せホルモン」とも呼ばれる神経分泌物質のオキシトシンが体内でどのように変化するかを分析します。例えば、飼い主とイヌが30分間の交流をして実験前後の尿中のオキシトシンを比較したところ、よく見つめ合っていた場合は飼い主にもイヌにも濃度の上昇がみられました。
 また実験前、イヌに人工的にオキシトシンを投与すると、交流中にイヌから飼い主へ視線を送る行動が増えました。見つめられた飼い主もオキシトシン分泌が促進されて相互に良い関係を持続できることから、人間の母子間でみられるのと同じ生物学的な絆がヒトとイヌにも芽生えるのではないかと考えられています。

ヒトの進化の謎まで解明されるかも

 同じ実験をイヌと共通の祖先を持つオオカミで行ったところ、長年飼われていた場合でも交流後にオキシトシンの分泌量は変化しませんでした。これはイヌのみが進化の過程で何らかの遺伝子の変化を生じ、ヒトとの共生が可能になったからだと考えられます。
 つまり種の異なるイヌとヒトがなぜ親密な絆を結べたのかを科学的、遺伝学的に解明できれば、ヒトが他者との協力や共感を重視して進化を遂げた理由は何なのか、というところまでわかるようになるかもしれないのです。

この学問がむいているかも獣医学、動物行動学

麻布大学
獣医学部 動物応用科学科 教授
菊水 健史 先生

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メッセージ

 私は動物がどうして群れ、お互いを認知して仲良くなっていくか、というプロセスに興味を持って研究を進めています。動物の心を理解すれば、人間がなぜこのように複雑で多様な社会を作り出してこられたのか、という進化の過程も見えてくるはずです。動物の心のメカニズムを解明することで、ヒトと動物、また人間同士のつながりが、今よりもっと良いものになるでしょう。動物に興味を持っているなら、ぜひ一緒に研究に取り組んでみませんか。

メッセージ

 鹿児島県の出身です。幼い頃から野山で遊んで育ち、小学生の頃は、罠(わな)をしかけて、野生動物を捕獲することに夢中でした。それはまさに「動物との知恵くらべ」でした。動物が何を感じ、どう逃げるかと予想しているうちに、自然と動物の心のあり方にまで興味がふくらんでいきました。中学生の頃には、獣医になろうと決意していましたが、動物のお医者さんになりたかったわけではなく、あくまで動物学を学ぶ一つの手段として考えた結果でした。
 それ以来ずっと、動物の心のあり方に興味を持って研究を進めています。

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ヒトとイヌ、共生の歴史が生んだ心の繋がり

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 はじまりは1890年に開設した東京獣医講習所でした。
 まだ栄養状態が豊かでなかったこの国の、人の生活を豊かにするため、畜産の発展に寄与するため獣医師の養成をはじめました。それから約130年の時を経て、人の社会と動物のかかわりは深くなり、複雑になり、生きものすべてが新しいバランスで循環する「いのちのあしたのあり方」が求められています。
 これが私たちの目指す「地球共生系」です。
 最先端の研究と確かな実践力で、「人と動物と環境」に向き合い、地球のあしたをつくる。これが私たち麻布大学です。

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