夢ナビ

「日本語でしゃべる」を科学すると、見えてくる「意外なこと」

講義No.07244

日本語の音声を語学教育の発想でとらえる

 正しい日本語の音声とは、相手に伝わりやすい、つまり「違う音に聞こえない」音声のことです。しかし、私たちはふだん意外と曖昧に発声しているため、他言語の話者に「伝わらない」こともしばしばあります。ではどうすれば“正しい”発声ができるのでしょうか? 「国語」の授業ではあまり触れられていないため、日本語ネイティブのあなたの方がかえって「?」と思うことでしょう。他言語母語話者向けの「日本語教育」は、日本語の音声についても体系的に教えています。日本語をひとつの「言語」として客観的にとらえるところに、新たな“発見”があるのです。

ドップラー効果と発声に共通点があった!?

 「音」とは、空気など、音を伝える媒体の振動で生まれる物理現象です。身近な例を考えてみると、パトカーなどのサイレンは、近づいてくるときには高く聞こえ、遠ざかっていくときには低く聞こえます。いわゆる「ドップラー効果」です。また、細長い筒の中に水滴を落としたときに聞こえる「共鳴音」は、筒の中の水位が上がるにしたがって高くなります。共通点はどちらも「同じ音源の音が違って聞こえる」ということです。それはなぜでしょう。こうした日常的な現象も、実は私たちの発声と深い関係があるのです。

音声も「音」という物理現象

 人間が声帯で出す音は「ブーッ」という音です。ではなぜ「あ」「い」「う」……のような音に聞こえるのでしょうか。ここには、「共鳴」という物理現象が関与しています。私たちは口の中の形状を瞬時に複雑に変えて、さまざまな「音声」を作っています。この事実を理解することで、例えば声楽家は、より美しい声を響かせられるのです。
 「音声」も、「音」という身近な物理現象との結びつきがわかると、「なるほど!」と知的好奇心が刺激されます。
 日本語学習者だけでなく、日本語ネイティブのあなたが日本語の音声を客観的に見つめ直すことは、実は自分自身を見つめ直すきっかけにもなり、さらには、ほかの言語を学ぶ上でも非常に役に立つはずです!

この学問がむいているかも音声学、日本語教育学、言語学

武蔵野大学
グローバル学部 日本語コミュニケーション学科 教授
村澤 慶昭 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 あなたは、普段どんな声で話をしていますか? 自分の声が好きですか? 好きな声優さんはいますか? 声優さんや俳優さん、アナウンサーの中には、生まれつき素晴らしい声を持つ人もいますが、ボイストレーニングによってそれを身につけた人もいます。
 私たちはふだん、無意識に発話しています。しかし、どこをどうすればどんな音が出るのかに気がつくと、自分の発声だけでなく、「音」の世界や言語の世界へ興味の幅が広がります。「音声学」は、実はとても身近にあってすぐにも役に立つ学問なのです。

メッセージ

 高校生のとき英語が大の苦手で、クラスの中で英語ができない3人組の1人でした。「音声」に興味を持った最初のきっかけは、大学受験のための英語の勉強で覚えた発音記号でした。「耳で聞いてわからない違いも、発音記号を見ればわかる」、そのことがとても興味深かったのです。
 大学で日本語教育を勉強する中で、さらに「音声」にひかれていったのは、コンピュータによる分析で波形をとらえるなど、客観的にみることができたからでした。こうして言語を、誰もが納得できる形で科学的に説明できるのが「音声学」の面白さなのです。

メッセージ

日本語教員/メーカー/サービス業/メディア・サブカルチャー関係 など

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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村澤 慶昭 先生がいらっしゃる
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 武蔵野大学は、文・理・医療・情報系の総合大学です。2021年4月、「アントレプレナーシップ学部」を新設。既存の枠にとらわれず、新たな価値を創造していく起業家精神(アントレプレナーシップ)を持った人材を育成します。2020年4月には、文系も理系も専門に活かせる学びができる新しい情報教育がスタート。12学部20学科になる武蔵野大学では、経済学、経営学、法学、文学、国際、語学、教育、薬学、看護、心理、福祉、工学、環境、建築などの学問分野が学べます。

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夢ナビ編集部