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市場経済導入でコミュニティ組織を失ったベトナムの少数民族

講義No.04989

キン族と少数民族が混在するベトナムの農村社会

 ベトナムの農村部のうち、低地には儒教を基盤とした主流民族のキン族が水稲耕作を行っています。一方、山地に入ると焼畑農業を基盤とする少数民族が多く暮らしています。従来、社会主義の支配がなかなか及ばなかった地域です。ところが、ベトナム戦争以降に低地は人口過剰に陥り、貧困者が増えました。そこで、政府は山地資源を活用し貧困を解消するために、低地の人々を山地に大量に移民させました。彼らは水稲耕作を行い、元からいる少数民族は焼畑を行います。支配も二重構造になりました。

政府は少数民族を支配しようとするが失敗

 少数民族の自治組織は、長老とその下の血縁組織で構成されています。彼らは、明確な土地のテリトリーを持っていました。今度はどの土地で焼畑を行うかなどの調整は、長老と血縁組織の長の間で行っていました。土地の私有概念はなく、みんなで土地を管理してきたのです。そんな中にキン族が流入し、政府も少数民族を実質的な支配下に置こうとしました。社会主義政権にとって土地は国のものです。しかし、政府が山村の奥地まで管理するには力不足でした。そこで、もともと少数民族のものであった林野土地を彼らに再分配し、個人で所有・管理させることにしたのです。その代わり、焼畑は禁止し輸出のためにゴムやアカシアの木を植えるように要請し支援しました。

市場経済の導入で少数民族のコミュニティが崩壊

 結果として、ゴムやアカシアの木は売れるようになり、少数民族の生活自体は向上しました。ただ、植林や土地を配分するのは政府の行政組織であるため、昔からある長老を中心としたコミュニティは崩壊しました。いったん市場経済に取り込まれると、自分たちで生産物を管理することは不可能になります。価格の変動に左右され、またベトナム社会も成熟していないので、事業に失敗した場合の再生も難しくなってしまいました。市場経済の導入で内生的に生きる力を失ってしまったのです。

この学問がむいているかも環境管理工学

岡山大学
環境理工学部 環境管理工学科 教授
金 どぅ哲 先生

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メッセージ

 あなたは、今は受験勉強で忙しいと思いますが、できれば、広い視野で世界を自分の目で見てほしいと思います。「わかる」というのは、自分と世界を比較しながら認識するわけですが、そのためにはまず自分の考えを持つこと、また相手を尊重することが大切です。私は韓国で生まれて韓国で育ちました。韓国を見ながら、日本の山村や農村を見てきました。また、今はベトナムの農村を研究しています。その中で見えてきた日本や韓国の問題があります。あなたも、私と一緒に世界を相手にした研究をしてみませんか。

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夢ナビ編集部