「データ解析」「データサイエンス」という言葉をよく目にするでしょう。データ解析の目的は、収集されたデータの中に有意な規則性を見出し、統計的推測により有益な情報を得ることです。データ解析には数学や統計学はもちろん、情報工学や機械学習、データマイニング、可視化などといったさまざまな分野の知見や技術が関わっていて、新たな手法が次々に開発されています。このような方法論は、土木工学においても有用で、安全で経済的な構造物の設計・施工に生かされています。
データ解析の一つの分野に、逆解析(もしくはデータ同化)があります。逆解析とは予測モデルと実際の観測値を組み合わせ、両者の誤差を小さくすることにより、モデルによる予測を現実に近づけることを言います。土木分野においても逆解析は非常に有効で、地盤調査などで用いられています。 逆解析とは、スイカを切らずにたたいた音で甘さを判断するように、原因から結果を導くのではなく結果から原因を推定する方法です。地盤の構造や空洞を知りたい場合、地盤をたたいて跳ね返ってきた振動で調べる試験方法などが逆解析です。逆解析の手法を応用すれば、柔らかな海底地盤に建設されている海上空港が数十年経つと何cm沈下するかも、高精度で予測できます。
このようにデータ解析を土木工学や地盤工学に適用すると、より低リスクで経済的な構造物が造れます。今後、測量・設計・施工全般で高度な情報化が進めば、すべてを自動化することも夢ではありません。発注側の打ち合わせ資料や音声から設計に関する情報を自動的にピックアップし、それを元に機械が地盤調査をし、そのデータを元にコンピュータが自ら解析し、構造物を設計して図面を描き、機械が完全自動化で施工する、観測データとシミュレーション技術を組み合わせたデータ解析で、「設計施工の完全自動化」が可能になるでしょう。
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環境理工学部 環境管理工学科 准教授 珠玖 隆行
あなたは幸せになりたいと思っているでしょう。それなら、自分の興味のあることを見つけて、それをとことん追究してください。それが幸せな人生の秘訣だと思います。その上でさらに大切なのは、先入観を持たず何にでも興味を持つことです。 研究をしていると、「自分の専門はこの領域だ!」とこだわってしまいがちですが、それでは面白くないし、横のつながりも広がりません。自分の殻に閉じこもらず、いろいろなことを柔軟に考え、自分のフィールドを広げて充実させていける人になってください。
サッカーばかりしていた高校時代、実は文系で日本史に興味があり、その方向に進もうと思っていました。しかし、理科で選択していた地学の先生が、地学に関する現象を面白く説明してくれたことでとても興味がわき、進路を理系に変更し、地学を学べる大学を選びました。 大学は高校と違って、数式の解き方よりも数式の意味を教えてくれます。3年生のとき、とても難しい解析の授業で、先生が「この技術はこう使って社会に役に立つ」と、勉強と実生活の橋渡しをしてくれたことがきっかけで、自分の中で「解析」への興味がぐんと深まりました。
建設関連会社(ゼネコン、建設コンサルタント)/設計・施工、社会インフラ関連会社(電力、ガス)/施工管理、大学教員/研究・教育