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岡山大学の教員によるミニ講義

関心ワード
  • プラスチック、
  • ポリエチレン、
  • 生分解性プラスチック、
  • ポリ乳酸、
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  • 結晶、
  • 環境、
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土に還る生分解性プラスチックの性能を高める

エコだけどタフじゃない生分解性プラスチック

 プラスチックは、ここ100年ぐらいの間で急速に普及しました。プラスチックがたくさん使われる理由は、材料費が安くて加工をしやすく、さまざまな用途に活用できる点にあります。とても便利なプラスチックですが、一点だけ決定的な問題を抱えています。それは環境に悪影響を与えることです。ゴミとして捨てられたプラスチックは、決して自然に返ることがなく、ゴミのままで存在し続けます。この欠点を解消する環境にやさしい素材として生分解性プラスチックが開発され、市場に出回るようになりました。しかし「生分解性プラスチック」は普通のプラスチックに比べると値段が高い上に、もろいという欠点があります。

性能を高めるカギは結晶化のプロセスにあり

 生分解性プラスチックの代表選手はポリ乳酸です。多くのプラスチック製品の原料となるポリプロピレンなどとの違いは、ポリ乳酸は結晶化しにくいことです。結晶化するのに時間がかかり、しかもきれいな結晶となりにくいのです。プラスチック製品の製造工程では、熱を加えて溶かした材料を金型に流し込み、急速に冷やして成型します。ここで原料にポリ乳酸を使うと冷やす時間が長くかかるので、冷却のためのエネルギーもその分だけ増やさなければなりません。

力をかけて引っ張るときれいに並ぶ

 ポリ乳酸も「ポリ」という「多い」という意味を持つ接頭語が付いていることが示すように、ポリプロピレンやポリエチレンと同じ高分子材料です。人工的に作られた高分子材料は、分子が規則正しく並ばないことが欠点です。これをDNAのような整然とした構造にできれば、結晶化しやすくなり強度も増します。ポリ乳酸の分子を整然と並べる方法の一つに、分子に力学的に引っ張る力を加えるやり方があります。完成度を高める条件は、引っ張る速さと力の強さ、そして温度であることがわかりました。そこで条件をいろいろ変えることで、理想のポリ乳酸を作りだす研究が進められています。

絡み合う長いひも状分子の結晶化

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この学問が向いているかも 高分子化学、応用化学、物質化学


環境理工学部 環境物質工学科 准教授
山崎 慎一

メッセージ

 高分子材料と言うと、なじみが薄い言葉かもしれませんが、実はあなたの身の回りに必ずあるプラスチックの材料も高分子材料です。プラスチックを見ればわかるように、高分子材料の特長は、そのしなやかさにあります。このように柔軟性のある材料を「ソフトマテリアル」と呼びます。現代化学では、未来の暮らしを担う素材として、ソフトマテリアルの研究が重視されています。新しい材料の研究には、若い柔軟な発想が必要です。高校でしっかりと化学を勉強し、ぜひ新材料の研究に一緒に取り組みましょう。

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