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山口大学の教員による講義

関心ワード
  • 老化、
  • 活性酸素、
  • DNA(デオキシリボ核酸)、
  • 細胞、
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  • 免疫、
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  • シロアリ、
  • 長寿

シロアリに学ぶ長寿の秘訣!?

老化の原因「活性酸素」

 活性酸素は老化の原因です。体内のタンパク質や脂質、DNAなどの核酸を酸化して、それらが持っている働きを破壊します。細胞に蓄積した酸化した物質は、最後は細胞を死に至らせます。老化が進むのは、死んだ細胞を体が処理しきれなくなり体内に残るからです。また、活性酸素は核酸を酸化するなかで遺伝子を傷つけ、正常細胞をがん細胞に変異させることがあります。がんは日本人の死因のトップで、平均寿命を短くしています。

シロアリは活性酸素を完全に制御

 このように一見悪者に見える活性酸素ですが、一方で体になくてはならない存在でもあります。細菌やウイルスなどを排除する免疫機能や、新しい細胞を作り出す際に必要な物質だからです。活性酸素は、ほとんどが代謝サイクルで発生するので避けようとしても防ぎようがありません。そのため体内では、不要な活性酸素を抗酸化酵素やビタミンCやEなどの抗酸化物質によって無害化しています。つまり、健康や長寿のためには活性酸素をうまく制御することが必要となってきます。
 活性酸素を完全に制御する代表がシロアリです。ほかの昆虫は1年も生きませんが、シロアリはほかの昆虫に比べ長寿で、特に王や女王アリは数十年も生きます。

人間にもシロアリと似た仕組みがある

 その理由はまだよくわかっていませんが、調べてみるとシロアリは強い抗酸化物質を持っています。それだけでなく、活性酸素を生み出さない代謝を行っているのです。簡単に言えば、「息をしていない」のです。では、人間はどうでしょう。人間は「息をせずに」生きることはできるのでしょうか? 実は、人間も似た仕組みを持っています。がん細胞は酸素を必要としない代謝を行っています。グルコース(炭水化物)をがん細胞が生きるためのエネルギーにするときに、酸素をほとんど必要としないのです。まだ研究はこれからですが、シロアリの長寿の仕組みが明らかになれば、そこからがん抑制や酸化をくい止める方法が見つかるかもしれません。

この学問が向いているかも 生物機能科学


農学部 生物機能科学科 准教授
井内 良仁 先生

メッセージ

 私は老化抑制と寿命延長について研究しています。意外に思うかもしれませんが、寿命が長い生物の代表にシロアリがいます。一般的に昆虫は短命ですがシロアリ、特に王や女王といった生殖虫は数十年という極端に長い寿命を誇ります。そのような昆虫について研究することで、私たちの健康や寿命延長に何らかの知見が得られるのではないかと思っています。
 何をするにも、健康や体力はあるにこしたことはありません。あなたも本当にしたいことが見つかった時のために、十分準備をしておいてください。

先生の学問へのきっかけ

 子どもの時から生き物に興味があり、大学は理学部生物学科に進みました。その後、医学部で研究する機会があり、「活性酸素と老化はどう関係するのか」「生き物の寿命はどうやって決まるのか」などに興味を持ちました。
 病気を治すというよりは、「病気にならないためにはどうすればよいか」に関心があるので、現在は農学部で研究をしています。研究対象は昆虫の中でも寿命が長いシロアリです。その長寿命の秘密を解明して、ほかの動物にも応用できないかと考えています。それは、人間の老化防止や寿命延長にもつながるかもしれません。

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