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大阪医科薬科大学(2021年4月大学統合予定)の教員によるミニ講義

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  • 先天性心疾患、
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温故知新の視点から生まれた肺高血圧の治療薬

赤ちゃんの肺に高い血圧がかかる

 赤ちゃんの先天性心疾患で最も多いのが、心室中隔欠損という、右心室と左心室の間に穴が開いてしまう疾患です。この穴のため肺に必要以上の血液が流れてしまい、肺高血圧が起こります。
 肺高血圧は、循環器系の病の中ではとても重い病気の一つです。多すぎる血液のせいで肺が水をいっぱい吸ったスポンジのようになってしまい、ひどい場合には息をすることさえ苦しくなってしまいます。重症の場合には手術だけでなく薬物治療も必要になります。

薬剤アプローチ、第四の薬

 肺高血圧の薬物治療には、現在3種類が使われています。エンドセリン受容体拮抗剤、プロスタグランジン製剤、そして一酸化窒素の吸入またはホスフォジエステラーゼ5型阻害剤です。
 ところが、これらの薬剤以外にも効果を見込める薬があることがわかりました。血中にアルドステロンと呼ばれる物質があり、これは血圧を高めたり血管や心臓組織を増殖させたりするホルモンです。血圧を下げるため、このアルドステロンの働きを抑える薬が以前からありました。この薬が肺高血圧の治療に使えるのではないかと考えられたのです。
 ラットを使った実験結果は良好で、アメリカの心臓病学会で発表して高い評価を得ました。

温故知新の考え方を医療にも

 一般的に高血圧が起こる原理は、全身の動脈の血管の壁が硬く厚くなっていくことです。赤ちゃんの肺高血圧も発症のメカニズムは違うとはいえ高血圧の一種です。それなら一般の高血圧に効く薬が有効でなのはないか、そんな仮説に基づいた研究が成果につながりました。
 医学の世界では、画期的な新発見や治療法の開発がどうしても流行になりがちです。もちろん、そうした研究が医学を大きく進歩させることに間違いはないのですが、一方で既存の治療法を新しい見方で他の病気に応用することで、新たな治療の可能性が開けることも多々あります。手術に関しても以前からのやり方を少し変えるだけで、見違えるような成果が出る場合もあります。最先端の科学、医学でも温故知新は貴重な視点なのです。

こどもの心臓の成長を助ける手術材料の開発

この学問が向いているかも 心臓外科学、胸部外科学、医学


医学部 医学科 外科学講座 胸部外科学教室 教授
根本 慎太郎 先生

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メッセージ

 高校生のあなた! 現在そして未来に向かって医学(病気のメカニズムをさまざまな方法で探り、新しい治療を開発して行く学問)と医療(病気だけではなく患者さんをチームで効果的に診断・治療していくシステム作り)を私たちと一緒に探究しませんか? 「よーし! 世のため人のため、そして自分のために医師になるぞ!」というあなたの熱意を大阪医科大学は応援します。世界に打って出るチャンスも自分の手で掴めます! アットホームな雰囲気の中で活躍している様子をいつでも見に来てください!

先生の学問へのきっかけ

 拡張型心筋症の男性が心臓移植を受けられずに亡くなったことへの無念や、弁膜症の女性の手術で止められた心臓が再び動き出して無事に退院していった感動を経験し、心臓に関わりたいと強く思いました。卒業後、心臓外科医になるためのトレーニングの中で、複雑な解剖に精緻なテクニックで挑んでいく、小児の先天心疾患の手術に興味を持ちました。赤ちゃんが無事に手術を乗り切り、80年の人生をスタートできるように手術テクニックを磨き、果てしないゴールに向けて、将来の担い手である医学生と若いドクターたちと共に頑張っています。

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