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講義No.09751

社会の変化がもたらす新たな問題に法律はどう対応するか

専門家の力を借りて刑法を作る

 2018年、中国で世界初となるゲノム(遺伝子)編集された双子の赤ちゃんが誕生したと発表され、安全や倫理などさまざまな面での危険性が指摘されました。このほかにも、私たちの社会には日々新しい問題が発生しており、中には既存のルールでは対応できないものも多く含まれます。
 刑法の分野では、こうした問題に対して新たな罰則を定め、法規制によって問題に対処していきます。最先端の医療や科学分野の問題は法律家だけでは判断が難しく、世論も形成されにくいため、その分野の専門家を「審議会」という場に招き、専門的な知識や意見を取り入れながら、新しい法律を作っていきます。

法律ができるまでのプロセス

 刑法の審議会は、法務省や警察庁が担当することが一般的ですが、経済スパイのような問題は経済産業省が、科学技術に関する問題は文部科学省が担当することもあります。また、人の胚に関する問題のように生殖補助医療と密接に関係しているケースでは、民法の中の家族法の専門家が参加し、行政による承認をもって規制する場合は、行政法の専門家が参加します。こうした専門家による審議の結果が内閣に提出され、それをもとに内閣提出法案が作られ、国会で可決された後で法律として施行されます。

社会の先頭でルール作りに参画

 新たな法律は日々作られていきますが、法律は一度作れば普遍的に通用するというものではありません。特に最先端科学のような分野では、科学技術の発展にともなって新たな議論が生まれるため、規制となる対象や罰則も更新され続けなければならないのです。
 法学というと、過去に作られた法律や裁判例を覚えるというイメージがあるかもしれませんが、基本となる考え方を理解した後は、新たな問題に対処する思考が不可欠です。決してきれいごとでは済まされない部分に目を向けていくことも多くあり、大変なこともありますが、法学はいわば社会の先頭に立ってルール作りに参画する学問分野なのです。

夢ナビライブ2019 東京会場

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法の目的

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動物実験は人間に応用できるのか

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ゲノム差別がやむを得ないことともなる例外

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講義を視聴する(30分)

この学問が向いているかも 刑事法学

京都大学
法学部  教授
髙山 佳奈子 先生

メッセージ

 将来、法学の分野に進みたいからといって、高校で特別な勉強をする必要はありません。まずは今、学校で習うことを一生懸命勉強することが大切です。
 ただ、法学の分野では論理的な思考力が求められるので、高校の数学の勉強は頑張っておいた方がいいでしょう。また、戦前の判決文などは古い文語体で書かれているので、国語力があるとなおいいです。とはいえ、いろいろな判決文を読みこなすうちに、すらすらと読めるようになります。そういう意味では、法学は自分の力が向上したことが実感しやすい分野ともいえます。

先生の学問へのきっかけ

 私が高校生だった1986年、男女雇用機会均等法が施行されました。それまで根強く残っていた女性差別が改められる時代に入り、私も男性と対等に働くことをめざして、大学の法学部に入学します。当初は国家公務員が目標でしたが、法学の勉強を続けるうちに刑法の基礎理論の研究が面白くなり、大学院に進みました。大学教授になってからは、政府の各種審議会に参加して新たな法律作りに関わる一方、大学の労働組合の役員になり裁判支援に関わるほか、さまざまな社会運動に携わって、研究や教育にとどまらない精力的な日々を送っています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

弁護士/裁判官/検察官/公務員/企業内法律家/大学教員

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髙山 佳奈子 先生がいらっしゃる
京都大学に関心を持ったら

 京都大学は、創立以来築いてきた自由の学風を継承し、発展させつつ、多元的な課題の解決に挑戦し、地球社会の調和ある共存に貢献するため、自由と調和を基礎にして基本理念を定めています。研究面では、研究の自由と自主を基礎に、高い倫理性を備えた研究活動により、世界的に卓越した知の創造を行います。教育面では、多様かつ調和のとれた教育体系のもと、対話を根幹として自学自習を促し、教養が豊かで人間性が高く責任を重んじ、地球社会の調和ある共存に寄与する、優れた研究者と高度の専門能力をもつ人材を育成します。

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