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講義No.09749

「がん告知」という複雑な問題の解決に役立つ看護学の研究

治らないがんをどう告知するか

 がんが再発し、末期がんや進行がんであることがわかった患者さんの場合、回復の見込みがないという大切な事実が、本人より先に家族などに告げられ、本人にはすぐには知らされないというケースがあります。事実を知ることでショックを受け、混乱することを避けたいという家族などの意向が働いてのことですが、その後の治療方針や残りの人生の過ごし方を患者さん自身が決定できないという状況が生まれます。そのため、看護学の分野では、がんの告知に関する研究も行われています。

学生の意識調査の結果

 ある研究では、大学生を対象に「自分や家族が治る見込みのない進行がんの場合、本人に告知してほしいか」というアンケートが行われました。対象となる大学生は、看護学を専攻する学生が200名、それ以外の専攻が200名です。自分が患った場合は両グループとも8~9割が「告知してほしい」と答えましたが、家族が患った場合は看護学生グループが7割、それ以外のグループは4~5割にとどまりました。この結果から、「自分は知りたいが家族には知らせたくない」と考えていることがわかります。家族への告知については、両グループで3割前後の差がありますが、これは、看護学生が終末医療に関する教育を受けていることが影響しているでしょう。

医療現場の負担を減らすには

 がんの告知は、医療従事者にとって大きな負担になっています。進行がんがわかった後に、患者さん以外の家族などで話し合われることが多く、意見や方針がまとまりにくいこともその一因です。先述のアンケートのように、自分や家族ががんになった場合に、どう告知してほしいかを事前に話し合う機会が増えれば、本人や家族、医療従事者にとってもよい状況につながります。
 また、看護師の告知への関わり方は、個々の経験に頼る部分が多いのが現状ですが、看護師の役割をより客観的に評価し、改善に生かすためにも、統計をはじめとする看護学的な裏付けをもとにした研究が求められます。

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この学問が向いているかも 看護学

名桜大学
人間健康学部 看護学科 准教授
木村 安貴 先生

メッセージ

 看護師は、患者さんや家族、また医師やそのほかの多職種との連携を図る必要があり、多くの人と接します。そのため、高校時代からクラブ活動や生徒会の活動、ボランティアなどをなるべく多く経験し、「コミュニケーション力」を鍛えておいてください。
 特に重要なのは、相手の思いや考えに耳を傾け、うまく伝えられない人に対しては思いを引き出し、さらに、自分の意見も的確に伝えるといった、相互関係を築く能力です。まずは、なるべくたくさんの人と接して、コミュニケーションする機会を多く持ってください。

先生の学問へのきっかけ

 私はもともと、医師になって人を助けたいと考えていましたが、親戚ががんになったことが転機になります。治療も重要ですが、病気を治すことが難しくなったとき、患者に寄り添い、病気を抱えながらも生きる力を与える看護師に魅力を感じたのです。大学は看護学部に進み、看護学の奥深さに触れ、がん専門の看護師として数年働き、再び大学に戻り研究者になりました。看護師は個々の経験が重視され、看護学は「実践の学問」ともいわれます。しかし、より学術的で客観的な評価・研究が臨床分野にも貢献すると考え、日々の研究に励んでいます。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

看護師/保健師

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木村 安貴 先生がいらっしゃる
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 名桜大学は、平和・自由・進歩を建学の理念として1994年に開学。生きる力を育む教養教育(リベラル・アーツ)を基盤に、国際学群では、社会の多様なニーズに対応し地域および国際社会で活躍できる人材を育成、人間健康学部では、健康に生きる価値を人々と共に創りだす専門職、健康支援人材を育成しています。生涯のチカラとなる沖縄・名護での4年間。将来への扉は、ここから開かれています。

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