夢ナビ夢ナビは、さまざまな言葉をデータベースから検索・閲覧し、将来の進路を決める“きっかけ”を提供します。

講義No.09706

比べてみれば面白い、変化する言葉の使い方や意味の違い

時代とともに移り変わる言葉

 「外では雨が降っているようだ」という文章を読んだとき、通常は「雨が降っているらしい」という推定の意味でその文章をとらえます。現代の言葉における「~ようだ」は推定の意味を持ち、「いつもより混んでいるようだ」という様態や、「まるで、夢でも見ているようだ」という比喩の意味でも使用されます。しかし江戸時代後期の文献に登場する「~ようだ」という表現は、現代とは少し異なる意味合いで使われていました。
 例えば、江戸時代に著された作品には、目をまわした登場人物が「目がまわるようだ」と話すシーンがあり、比喩ではなく自分の内的感覚を表現する際にも「~ようだ」が使われていることがわかります。日本語の単語はしばしば複数の意味を持ちますが、その意味の「中心部分」が変わってきているわけです。このように、時代の移り変わりとともに、言葉もダイナミックに変化しており、そうした言葉の意味の変化やシステムとしての文法を研究するのは「日本語学」という学問の目的の1つです。

「キモい」と「気持ち悪い」の違いとは?

 現代でも、言葉はどんどん変化しています。例えば、「キモい」という若者言葉ですが、これは単に「気持ち悪い」という言葉を略したものではありません。「気持ち悪い」には「車酔いで気持ち悪い」という自分自身の感覚を表す場合と、「蛇は気持ち悪い」という対象への評価を表す場合がありますが、「キモい」は前者の場合には使われず、もっぱら後者の意味だけで使われます。つまり、「キモい」は「気持ち悪い」よりも意味が狭いわけです。

正しくないのに、なぜあの言葉は使われる?

 言葉の変化に敏感な人の中には、「『キモい』は用語として正しくないから使うべきではない」と主張する人もいます。でも、そこで思考を止めてしまっては何も先に進みません。正しくないのに広く若者に使用されているということは、そこになんらかの理由があるはずです。それを日本語学の観点から分析すると、思いもかけない事実を発見できることがあるのです。

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この学問が向いているかも 日本語学

千葉大学
文学部 人文学科 日本・ユーラシア文化コース 教授
岡部 嘉幸 先生

メッセージ

 「文法」の勉強は暗記要素を多分に含みますから、苦痛かもしれません。ですが、言葉の「なぜ」を考えるときには、文法を内面化して基礎知識として体得しておくことが不可欠です。例えば、リフティングや腹筋運動を10回以上できないプロのサッカー選手はいません。それと同じように、「言葉」の基礎技術や基礎体力を養う上で文法は欠かせないのです。
 大学進学後に触れる日本語学ではとてつもなく面白い世界が体験できますから、それを全身で楽しむためにも、今から文法を身につけておきましょう!

先生の学問へのきっかけ

 もともと言語に興味を持っていましたが、大学時代に国語学者の尾上圭介教授の日本語文法の授業を受けたのがきっかけで、日本語学にのめり込みました。それは「当然」と思っていたことを「なぜ?」と考えさせる授業でした。例えば、日本語の「は」という助詞には、「私『は』大学生です」という「主題」を表す場合と、「リンゴ『は』食べるけどバナナ『は』食べない」という「対比」を表す場合があり、同じ「は」なのに、使い方が2つあるのはなぜなのか? というふうに、尾上教授が思いがけない形で答えを提示してくれ、胸が躍りました。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

研究者/中学・高校国語教員/出版社・編集部員/地方公務員/日本語教師

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岡部 嘉幸 先生がいらっしゃる
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 千葉大学は、他大学にないユニークな学部を含む全10学部を擁する総合大学です。学際的文理融合の精神のもとに、教育研究の高度化、産官学の連携推進、国際交流の拡充を進めています。近隣には放送大学、国立歴史民族博物館などがあり、各分野で共同研究が行われています。「つねに、より高きものをめざして」の理念のもと、世界を先導する創造的な教育・研究活動を通しての社会貢献を使命とし、生命のいっそうの輝きをめざす未来志向型大学として、たゆみない挑戦を続けます。

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