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講義No.09695

人にやさしい「人間情報学」が開く未来

「心」を知ることの重要性

 私たちの日常生活を支える要素技術の一つに、人と機械の関わりを考える「ヒューマンインタフェース(HI)」があります。誰もが使いやすく適切に応答するスマートなシステムを実現するためには、単にモノ作り技術に精通するだけでなく、人間の五感や思考がどういうものなのかや、デザインの原理を理解するための学際融合的な研究が重要です。
 例えば、外界からの刺激に対する感覚や思考を情報処理の観点から考えるには認知心理学、それらに人間が反応する仕組みを調べるには医学や生理学、脳科学といった専門分野がありますが、これらの知見を生かし、目的に応じた学際的で自由なモノ作り研究に取り組めるのがHIの醍醐味です。

日常生活の質(QOL)を上げる

 一方、HIの技術を生かし、生活と密着した新たなモノ作り分野として立ち上がりつつあるのが「生活工学」です。例えば、2006年頃、センサと繊維を融合させたスマートテキスタイルを用いて、妊婦と胎児の心拍を測定できるIoT腹帯が開発され、医師が遠隔診療で見守れるデバイスとして、特許申請も行われました。また、介護施設で認知症の患者さんの食事やトイレ、運動などの回数を、においと振動で測り自動記録するシステムもあります。これは多忙な介助者でもケアプランを立てやすく、効率的なワークフローを実現できるように開発されました。さらに、異なるアプローチとして、紫外線計測アクセサリもあります。例えば、ヘアバンドに取り付けたセンサで計測した紫外線のマップをスマホに表示し、クラウドを通じて日焼けしない観光ルートを共有できます。

必要になる文理融合的な発想

 このようなHIや生活工学の考え方を生かし、少子高齢化や地方創生、SDGsといった喫緊の課題解決と社会実装技術を研究するには、理系だけでなく文系的な発想や知識も必要となります。こうした研究領域を広くまとめて、「人間情報学」といいます。安心・安全・快適な未来を開く大きな可能性を秘めていることが魅力です。

夢ナビライブ2019 東京会場

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人間情報学の醍醐味

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IT技術を使って胎児と妊婦の健康を見守る

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労働者の健康問題をどう管理していく?

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講義を視聴する(30分)

この学問が向いているかも 人間情報学、生活工学

奈良女子大学
生活環境学部 情報衣環境学科 衣環境学コース 教授
才脇 直樹 先生

メッセージ

 ユーザのニーズに応じた適切な情報処理装置をどのように設計デザインするかがヒューマンインタフェース(HI)の研究です。一方、生活者や女性の視点を生かした生活工学という新たな分野が立ち上がりつつあります。例えば介護の現場では、患者さんの健康状態をすばやく理解できるHIを備え、快適な生活環境を提供する技術が求められています。人間情報学は、こうした異分野を融合し文系理系の枠組みも超えて、よりトータルな観点から人間と社会に実装できるシステムを研究する興味深い分野です。

先生の学問へのきっかけ

 私が情報技術に興味を持ったきっかけは、小学4年生の秋、ラジオでイギリスBBCの日本語放送を聴いたことでした。はるばる地球を半周する電波に感動しましたが、毎日聴きたくてもアンテナや受信機を改造する必要がありました。そこで電子回路を独学しました。6年生の時にシンセサイザーを知り、電子回路が音楽にも応用できるとわかり、電子楽器も作りました。後にソフトウェアによる制御技術を研究し、人間の特性をものづくりに反映させる方法を追究し、ヒューマンインタフェース、そして生活工学、人間情報学の研究に到達しました。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

自動車メーカー総合職/電機メーカー技術営業職/繊維メーカー研究開発職/住宅メーカー研究職/IT企業SE/公務員/教員/研究職(大学教員)/新聞記者

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才脇 直樹 先生がいらっしゃる
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