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講義No.09693

超臨場感音場再生をめざして

音場とは何か

 音が存在している空間のことを音場(おんば)と呼びます。私たちは、常に音場の中で生活しています。例えば、人と話をしていても、外で話している時と、よく響く場所では聞こえ方もずいぶん違います。これは、音が耳に届く際、直接的に届く音に加えて、壁などに反射したり、散乱したり、あるいは吸収されて減衰したりした音が重ね合わされて届いているからです。音の聞こえ方に直接関係する音場の特徴は周りの様子によって大きく異なるのです。

音場を切り取り、再現するシステム

 このような音場を切り取って、別の場所で再現する研究開発が行われています。その一つとして、球形状にアレンジした80個のマイクロホンで音を録音し、それを96個のスピーカーを壁に設置した樽の中で再生するという取り組みがあります。音響樽と呼ばれるこのシステムを使えば、例えばコンサートホールのある座席の音場を録音して、別の場所で高い臨場感で再生することができます。再生するときも360度の全方向から音が出るため、まさにコンサートホールで音に包まれる状態を再現することができるのです。

よりよい音場での超臨場感へ

 このシステムは、特定の音場を忠実に再現することを目的としていますが、単に再現だけでなく、よりよい音作りのために活用することもできます。ミュージシャンは音作りをする場合、スタジオで音源を作って、再生環境に合った音に編集しますが、それと同じく、あえて演出を加えることを考えたものです。よりよい音を作るには技術が必要です。音響樽では、80個のマイクの音を96個のスピーカーに変換するためには、約7000種類の計算を極めて短い時間の中で行う必要があります。この操作は、ある程度までは規則的な計算で可能ですが、最終的に人間の耳を使って調整して、臨場感を超えた臨場感の達成をめざしています。応用にも期待が広がります。例えば360度の映像を再現するVR(バーチャルリアリティ)を応用したゲームなどで、空間の位置情報に合った音の再現にも利用できます。

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人間の聴覚の鋭敏さ

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音と三角関数

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音場再生って何に使えるの?

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この学問が向いているかも 音響設計学

九州大学
芸術工学部 芸術工学科 音響設計コース 教授
尾本 章 先生

メッセージ

 「音」、特に建築音響や電気音響と言われる分野の研究を行っています。音に興味をもつようになった明確な理由はありませんが、学際的で大変に面白い研究領域です。物理をはじめ、建築などの工学的分野から、音楽など芸術の分野まで幅広く関係しています。
 芸術工学科音響設計コースでは、音に関して多角的に学ぶことができます。芸術、工学、そして心理や整理など、よい音を聴くための研究もできます。興味のある人は、ぜひ偏ることなく耳を開いて、いろいろな分野に関心をもって、九州大学に来てください。

先生の学問へのきっかけ

 高校時代は音楽や音に特に関心があるわけではありませんでした。しかし、進学した九州芸術工科大学は、音関係だけで20人近くの教員がいて、音楽の歴史や構造から聴覚、心理、騒音、建築、デジタル信号処理まで、音に関わるほとんどの分野をカバーする日本で唯一の大学でした。なんとなく面白そうという気持ちで入学しましたが、音の分野の幅広さと奥深さを知りました。今取り組んでいるのは、音場(おんば)をいかに切り取り再現するかという研究です。音響施設の設計、ゲーム開発、バーチャルリアリティ開発にも応用可能な技術です。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

コンサートホール音響設計/レコーディングスタジオ音響設計/建設会社技術研究所/総合家電メーカー開発/音響機器開発

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尾本 章 先生がいらっしゃる
九州大学に関心を持ったら

 九州大学は、教育においては、世界の人々から支持される高等教育を推進し、広く世界において指導的な役割を果たし活躍する人材を輩出し、世界の発展に貢献することを目指しています。また、研究においては、人類が長きにわたって遂行してきた真理探求とそこに結実した人間的叡知を尊び、これを将来に伝えていきます。さらに、諸々の学問における伝統を基盤として新しい展望を開き、世界に誇り得る先進的な知的成果を産み出してゆくことを自らの使命として定めています。

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