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講義No.09645

アート教育を「身体性」から読み解く

「身体性」を重視するアート教育とは

 小学校の図工や中学・高校の美術の授業は、形・色・イメージといった、造形要素を中心とした教育ですが、そこに、身体性を重視した表現とコミュニケーションを基盤に据える学びを「アート教育」としてとらえています。私たちの生活や世界はあらゆる造形要素で満たされています。それを頭だけで考えず、からだ全体や物事と対話し、実感として学んでいこうという考え方です。
 例えば、おせち料理とはどういうものかを調べて、自分たちでつくって、重箱に詰めてみるというのも、アート教育の一環です。アートとは、衣食住といった生活や身近な社会に根差し、人が生きるとはどういうことかを問い直すものでもあるのです。

世界と対話する能力を育む

 従来の学校教育は、できるかできないか、正解か不正解か、が重視される傾向にあります。その中で、我々も子どもも「~あらねばならない」という価値に縛られがちです。
 それに対し、図工や美術という教科は、「問い」そのものをつくりだす時間です。「問い」や「気づき」というのは、自分の状況や取り巻く社会を客観視することです。そして、世界と対話することを学び、自分の中に納得する「答え」を見つけていきます。アート教育で身につくのは、上手に描く技量ではなく、気づき、世に問う=世界と対話するための能力です。

「生」を実感しづらい子どもたち

 現代の子どもたちは、「生」を実感しづらくなってきています。スマートフォンやゲーム機を操作しているだけだと、「からだ(心身)」で理解できることが少なくなっていきます。それは、自己肯定感の低下や自他の存在=「生」の希薄化につながるので、まずは子どもの身体性を活性化させる必要があります。
 アートは、そのための原動力です。身体性を活性化すれば、その人の個性が具体化されます。すると他者の個性を受け止めやすくなり、対話が広がるきっかけにもなります。身近なものを見る目、そして世界と対話する力を養うことで、よりよい社会をつくりだす素地ができていくのです。

夢ナビライブ2019 東京会場

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教育がアートに寄せる期待とは

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モノとの対話 世界との会話

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アート教育における身体性の活性化

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講義を視聴する(30分)

この学問が向いているかも 教育学、美術理論

群馬大学
教育学部 美術教育講座 准教授
郡司 明子 先生

先生の著書
メッセージ

 私は、身体性を重視するアート教育の研究をしています。図工・美術の授業をよりよくするための実践的な研究です。学校教育は、ややもすると堅く、息苦しくなりがちです。それに対して、図工や美術のようなアートの授業というものは、多様性を前提にして「当たり前」の既成概念を問い直し、新たな意味や価値をつくりだすことができる時間です。
 ですからアートの教育は、身近な生活や学校、社会を変えていくこと、つまり世界の更新に寄与するものです。その可能性を、一緒に探っていきましょう。

先生の学問へのきっかけ

 高校時代、美術部の先生から「大事なのは目だよ」という言葉をいただきました。それは物事を見極め、自分自身の価値観を作っていくことが大事だというメッセージで美術教育の道へ進むきっかけになりました。大学のダンス部で、音・衣装・動きなどからテーマにどう迫れるのかを工夫する中、美術表現をもっと広くとらえたいと考えました。「体で感じ取る」という行為を取り入れたアート教育を小学校の教員として十数年間行った後、自分が学んだことをこれから現場をめざす人たちと分かち合いたいと考え、教育学部で教える立場に回りました。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

保育士/教員/アートコーディネーター

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郡司 明子 先生がいらっしゃる
群馬大学に関心を持ったら

 群馬大学は北関東を代表する総合大学として、優れた人材を育成し、学問の研究と応用、福祉への貢献など、社会的使命を果たすことを特色としています。「社会のニーズに配慮しつつ細分化から総合化へ」という理念を研究面、及び教育面に具体的に実現させ、「研究活動面における社会との連携及び協力」に高く評価される形となって生かされています。

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