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講義No.09603

「環境心理学」を理解してみんなに優しい持続可能なまちづくりをしよう

建築物の設計に隠された心理的効果

 川に沿ってベンチが並ぶ遊歩道があるとします。夜にはたくさんのカップルが、なぜか等間隔に座っていきます。これは人間の心理的な要因から、無意識に行われる行動で「個体距離」と言われています。建築・設計の世界では、こうした行動心理を踏まえながら、建築物の設計を行っています。例えば、国会議事堂の前にまっすぐな道路がのびているのは、権威の象徴の強調のためです。また、京都の清水寺の参道が、登ってもなかなかお寺が見えないのは、期待感や達成感が得られるように、心理的効果をねらって設計されたからだと言われています。

まちや建物をつくる際の「基準」って何?

 現在の日本の建物やまちは、建築基準法に則って建てられています。しかし、これまでの建築基準は、健常な成人男性が基準となっており、子どもや高齢者、障がい者など、社会的弱者とされる人たちのことは、あまり考慮されてこなかったのが現実です。近年は「高齢者に優しいまちづくり」が主張されていますが、同じ高齢者でも60代と90代の人とでは、動きや行動範囲も違ってきます。高齢者にとってまちに出づらいという事実は当事者以外には気づきにくいものです。このように、これからのまちづくりには多様な生活者に寄り添った、よりきめ細やかな配慮が必要です。

生活圏を意識してジブンゴトをつくりだす

 日本では、1960~70年代、都市部郊外に「ニュータウン」がたくさんできました。当時は、小学校の学区を1つのコミュニティの単位として、その中に生活者に必要な施設や場所をつくろう、という発想で行われていました。しかし、幼児や高齢者にとっては、当時の1学区は広すぎて行きたい施設や場所に行けない人も現れます。こうした多様な生活者のリアルな生活圏を意識して、それぞれの人がまちに関わるジブンゴトづくり(住民参加)を促せば、自分の居場所が増え、まちへの愛着が育まれる持続可能なまちづくりになっていきます。コミュニティが希薄になった今、そのようなまちづくりが求められています。

夢ナビライブ2019 東京会場

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講義を視聴する(30分)

この学問が向いているかも 環境心理学、都市計画学

横浜市立大学
国際教養学部 国際教養学科 准教授
三輪 律江 先生

メッセージ

 少子化が進み超高齢社会やダイバーシティ(多様性)に注目が集まっている現在、子どもや高齢者などの社会的弱者を中心にした魅力的な建築とまちづくりのマネジメントについて改めて見直す必要があります。
 私は、「環境心理学」という視点から、住民自らがまちの価値や魅力を発見し、相互に協力し合っていく手法の研究をしています。まちづくりの実践では、「住民自らが楽しむこと」と、「チームワーク」「コミュニケーション」が大切です。ぜひあなたも一緒にまちづくりの今を学んでみませんか?

先生の学問へのきっかけ

 私が建築に興味を持ったのは、アントニ・ガウディの作品展を見て触発されたためでした。「建築って、こんなに柔軟な考え方でいいんだ!」と衝撃を受け、大学で建築・都市計画や意匠設計を学び、その後、設計事務所に勤務して、集合住宅、博物館、中学校などの設計を担当してきました。公共施設の設計をするときには、不特定多数の人にとって魅力的な「生きたハコ」となることを追求してきました。さらに、阪神淡路大震災の経験から、現在では住民が主体的につくり、まちのマネジメントに関わるまちづくりのあり方を模索中です。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

地方自治体公務員/不動産会社管理企画運営/都市計画コンサルタント/政策シンクタンク研究員

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三輪 律江 先生がいらっしゃる
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 横浜市立大学は、「実践的な教養教育」を導入しています。高度な専門知識を教養教育を通じて身につけ、バランスのとれた人材育成を図る教育システムです。日本を代表する国際港湾都市に位置する大学として、世界に羽ばたく人材の輩出を目的に、国際感覚を養うさまざまな取り組みも充実しています。個々の可能性を最大限引き出すための厳しい教育プログラムを愛情を持って進めていきます。

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