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講義No.09590

細胞内のミクロの小宇宙を解き明かす

分子は細胞の中でギュウギュウ詰め

 細胞の中にはたくさんの種類のタンパク質やDNAなどの生体分子が共存しています。水の中に漂っているこれらの分子たちは、まるでギュウギュウ詰めのプールのような混み合った状態の中で絶えずくっついたり離れたりしながら移動しています。分子はとても小さく素早いので、顕微鏡で倍率を上げても見ることはできません。これらの形や動きはコンピュータによるシミュレーションで解き明かされるのです。

コンピュータシミュレーションの仕組み

 分子はさらに小さい原子が集まってできています。それぞれの原子がどれくらいの距離にあるとどんな力が働くかを、あらかじめ関数にしておきます。コンピュータにこれらの数式を入力すると、1つひとつの原子の周りにあるほかの原子との距離を計算して、その原子にどれくらいの力が働くかが導き出されます。この力がわかれば原子が次の時間にどこに行くかがわかります。想定した大きさの中のすべての原子について、それを膨大な回数繰り返すことで、パラパラマンガをめくるように分子全体の動きを追うことができるのです。こうしてコンピュータの中で、細胞内の分子が運動している様子を再現できます。

スーパーコンピュータで計算する

 このようなシミュレーションは、膨大な量の演算を超高速で行えるスーパーコンピュータで計算されます。細胞内の分子シミュレーションは、コンピュータの性能が非常に進化したことから可能になりました。さらに、シミュレーションで得られた分子の形や動きを直感的に体験できるように、バーチャルリアリティ(仮想現実)を利用した観察システムも開発中です。
 人間の細胞内の分子の形や動きがさらに解明されれば、薬の開発などにも応用が期待できます。非常に混み合った細胞の中で、薬の分子が目的のタンパク質分子の鍵穴のようなところに入っていくプロセスが分子レベルでわかれば、新しい薬の発見や副作用の予測などに役に立つでしょう。

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この学問が向いているかも 生命情報学

前橋工科大学
工学部 生命情報学科 准教授
優 乙石 先生

メッセージ

 細胞の中はタンパク質やDNAなどのたくさんの分子がごった返しており、まるで満員のプールのような状態です。そのような環境で分子たちがいかに運動し、動いているかはまだよくわかっておらず、生命科学の大きな謎の一つとなっています。
 この謎を解明するために、私たちの研究グループはパソコンや、時にはスーパーコンピュータを使って、細胞内の分子1つひとつの動きを物理的なルールにしたがって計算しています。あなたが生物、そしてコンピュータが好きなら、ぜひ一緒に勉強しましょう。

先生の学問へのきっかけ

 子どもの頃から小さくて複雑なもの、特に生き物に興味を持っていたので、虫やアリの巣を観察するのが好きでした。進学した大学の物質工学科では液体の性質の研究をしていましたが、大学院に進むときに分子のコンピュータシミュレーションを専門にしている教授に出会ったのです。その時代はパソコンがまだまだ普及しておらず、私もまったくスキルはなかったのですが、コンピュータにさわりたいという憧れと、子どもの頃からの生き物への興味が重なり、細胞内の分子シミュレーションの研究につながっています。

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優 乙石 先生がいらっしゃる
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 前橋工科大学は、全国的にも数少ない公立の工科系大学で、先進的で個性が光る幅広い学科が特徴です。小規模な大学ですが、少人数教育によるきめ細やかな指導や、演習・実習・実験などの体験的な授業が自慢です。暮らしやすい前橋市で、地域社会の発展と福祉の向上に貢献する技術者を一緒にめざしませんか。

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