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講義No.09589

医療を発達させる「磁気浮上技術」

移植手術を待つ間を受け持つ補助人工心臓

 死亡の原因になる病気のうち、世界で一番多いのは心臓病です。重い心臓病患者が助かる道は心臓移植しかなく、ドナーによる心臓の提供を待たなければなりません。この移植手術が実施できるまでの期間を受け持つのが補助人工心臓です。例えば心臓病により、自分で送ることができる血液の量が毎分5リットルから3リットルに減ってしまった場合は、残りの2リットル分を補助人工心臓が請け負うのです。補助人工心臓により心臓を休ませている間に機能が回復することもあります。

回転部分を磁力で浮かせる

 補助人工心臓が作られた当初は、非常に大きかったため、体内に入れることはおろか、それを体の外につけて動けるようなものではありませんでした。小型化の突破点は、人間の心臓と同じような拍動流から連続流に切り替えたことです。連続流ポンプは拍動流で必要になる人工弁が不要になり、体の中に埋め込めるほど小さいサイズになりました。
 しかし体に何年も埋め込むためには耐久性や安全性などが重要です。血液を流す機械の内部で部品がこすれ合うと、赤血球が破損するなどの危険性があります。そこで、どこにも触れ合わないようにするために、磁気で回転部分を浮上させる磁気浮上技術により、きれいな血液を流せるようになりました。

全人工心臓をめざして

 しかし、補助人工心臓をつけた後に、約40%の患者はもう一方の心室にも不具合が出てしまうことがわかってきました。とはいえ両方の心室に1つずつ補助人工心臓をつけると、血の巡りのバランスが崩れてしまいます。1つの補助人工心臓だけでバランスよく両方の心室に血を送り込む必要がありました。ここにも磁気浮上技術が取り入れられ、磁力で浮かせた回転部分を上下させることで、流量の調整を自動でできるシステムが開発されたのです。これにより両心室を補助する人工心臓のみならず、心臓の代わりになる全人工心臓の完成も見えてきています。

参考資料
1:2016年の世界の死因の割合

夢ナビライブ2019 東京会場

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この学問が向いているかも 電気電子工学、医療工学

群馬大学
理工学部 電子情報理工学科 准教授
栗田 伸幸 先生

先生の著書
メッセージ

 私は磁気浮上技術を応用した人工心臓を開発する研究をしています。1960年代に臨床応用が開始された人工心臓は、すでに世界中で多くの重症心不全患者の命を救っています。しかし、人類はいまだに本物の心臓を超える性能の人工心臓を作ることができていません。
 私は何事においても、「必ずできる」という強い思考は物事を実現すると信じています。あなたも最後まで夢を追い続けてください。もし興味があるなら一緒に研究し、世界一の人工心臓を開発しましょう。

先生の学問へのきっかけ

 大学4年生の時に研究室の教授が活躍する姿を見て、自分も独自のアイデアで独立的に研究をして、世界を飛び回り、その研究成果を発表できるようになりたいと思いました。そういう強い憧れから、大学院の博士課程に進学し、今でも自分の好きな研究を続けています。
 磁気浮上人工心臓という新しい技術の研究をしていますが、そのことが知られるようになり、いろいろな国の研究機関から人工心臓の磁気浮上部分の設計をしてほしいと声がかかるようになりました。近い将来には、実際に人体に埋め込むことも予定されています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

自動車メーカー/自動車部品メーカー/電気メーカー/電力会社/機械メーカー/食品メーカー など

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栗田 伸幸 先生がいらっしゃる
群馬大学に関心を持ったら

 群馬大学は北関東を代表する総合大学として、優れた人材を育成し、学問の研究と応用、福祉への貢献など、社会的使命を果たすことを特色としています。「社会のニーズに配慮しつつ細分化から総合化へ」という理念を研究面、及び教育面に具体的に実現させ、「研究活動面における社会との連携及び協力」に高く評価される形となって生かされています。

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