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講義No.09579

江戸時代も現代も人の行動は変わらない~歌舞伎から見えてくるもの~

歌舞伎役者はファッションリーダー

 歌舞伎は江戸時代から今日まで続く総合エンターテインメントです。江戸時代の人々は現代人が映画やドラマを見る感覚で歌舞伎を楽しんでいました。お芝居のストーリーが気になる、好みの役者を見たい、華やかな舞台演出や音楽を楽しみたいなど、さまざまな理由で劇場に足を運んでいます。また、人気役者のファッションや髪形が評判になると、それを真似する人たちが巷(ちまた)に現われました。今日でもしばしば見られる流行現象と同じことが、当時すでに起きていたのです。

巧みな仕掛けでひともうけ

 人気役者が流行の発信源になることがわかると、役者を使って自分の商品を売ろうと考える商人も出てきました。例えば、お香に役者の名前をつけて販売したり、役者に自分の店の商品を舞台で使うよう依頼したりと、今日のタレントと商品のタイアップ(互いに利益を得るために協力すること)と同様の広告戦略がとられていたのです。
 一方、歌舞伎を上演する側も、お客が増えるよう工夫を凝らしていました。例えば未上演の演目を描いた浮世絵に実在の役者に似せた人物を登場させ、役者がお目当てのファンの期待をあおり、十分に盛り上げてから上演するといった集客努力をしていたのです。

歌舞伎の劇評でわかる庶民の姿

 当時の歌舞伎の劇評を読めば、人々がどのような演目や役者を好み、何に注目してお芝居を見ていたのかがわかります。例えば役者の褒め方からも、「日本一」か「三国一」かによって、その人の持つ世界観が日本を中心としたものか、アジアまで視野に入れたものかがわかるのです。また、上方(かみがた)の歌舞伎が江戸では「野暮ったい」と評されるなど、地域によって人々の好みが異なっていたこともわかっています。
 為政者に関する記録とは違い、庶民に関する記録は時代をさかのぼるほど少なくなります。しかし、文化を通じてその時代の人々の趣味嗜好やものの考え方が読み取れることがあります。歌舞伎もそのような文化のひとつなのです。

夢ナビライブ2019 東京会場

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この学問が向いているかも 史学、日本文化史学、人文学

武蔵大学
人文学部 日本・東アジア文化学科 教授
漆澤 その子 先生

先生の著書
メッセージ

 ぜひ高校生のうちに感受性を磨いておきましょう。固定観念を持って物事を見ずに、自由に想像する力を育んでください。芸術作品を鑑賞したときでも、他人の意見に流されたり、「何となくいいと思う」という漠然とした感想で済ませたりせず、「自分はここがいいと思う。なぜなら……」の「なぜなら」の部分をしっかりと持ってください。
 そのためには、高校の勉強はもちろん、映画や演劇、文学などさまざまな学びのバックボーン(支柱)が必要になります。一見興味がわかないものでも、積極的に接してみましょう。

先生の学問へのきっかけ

 小学生の頃に読んだ漫画をきっかけに歴史に興味を持つようになり、高校に入学した頃には大学で日本史を専攻することをすでに決めていました。大学時代には、よく学び、よく遊び、卒業論文の執筆をきっかけに現在の専門である芸能文化の研究をスタートさせました。日本史そのものへの興味もさることながら、父は映画撮影所のカメラマン、母は振付師という芸能一家に生まれ、子どもの頃からクラシックバレエや日本舞踊、ジャズダンスなどを習っていたという経験も、研究のモチベーションになっています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

中学校教員/教育関連講師/信用金庫営業/ホテルフロント/家電量販店接客 など

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漆澤 その子 先生がいらっしゃる
武蔵大学に関心を持ったら

 武蔵大学は「自立」「対話」「実践」の3つの目標を掲げ、旧制七年制高等学校から続く伝統の少人数教育は「ゼミ・演習」というかたちで堅持されています。「ゼミの武蔵」ともよばれる本学では、経済・人文・社会の3学部すべての学生が、1年次からゼミに所属します。10数名の少人数で、学生が主体となって発表・討論を繰り返しながら学ぶ「ゼミ」は、知識を深めるだけでなく自主性やコミュニケーション能力を育むことができます。このようなきめ細かな教育により、「面倒見が良い大学」としても高く評価されています。

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