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講義No.09573

不安を取り除くための行動療法とは?

不安の治療に必要な「慣れ」

 心理療法のひとつである行動療法では、不安を抱えている患者さんに対して、基本的には不安の原因に慣れさせるという治療をします。例えば電車に乗ると腹痛になってしまうため、電車で移動できないという症例があります。臨床心理士は患者さんに対し、くり返し電車に乗るという行動療法を行います。しかし途中で電車を降りては効果がありません。患者さんの中に残る一番怖かったときの記憶によって、余計に不安を感じてしまうからです。不安の頂点を乗り越えなければ不安を小さくすることはできないと、行動療法では考えます。

治療には怖くすることも大切?

 不安や恐怖の治療では患者さんに怖かったときの状況を思い浮かべてもらい、そこで感じる不安や恐怖をリラクセーションでなだめながら、直面して慣れるようにしていくこともあります。しかし怖かったときの気持ちを再現してもらうのは容易ではないので、恐怖心を呼び起こす方法の研究実験が行われました。
 高所恐怖症の人に、まずそれほど高くない台の上につま先だけ出して立ってもらい、目を閉じて少し前かがみの姿勢をとってもらいます。台を降りてから、改めて高いところにいるときのイメージを思い浮かべてもらうと、心拍数の上昇などの、恐怖を感じたときの反応がより高くなることが確認されました。恐怖を感じたときと類似の身体感覚を事前に経験しておくと、恐怖を思い浮かべたときの感覚がより鮮明になるのです。

漠然とした不安は治療が難しい

 行動療法では、条件付けで不安や恐怖が生じる反面、不安や恐怖を呼び起こす対象への慣れが生じることで条件付けを解除できると考えます。ですから、電車や高所などはっきりとした対象があるものに対しては比較的対処しやすいのですが、漠然とした不安のケースは治療の難度が上がります。そこでこれまでの行動療法では重視していなかった瞑想などの考え方を取り入れる新しい流れが見られます。実際に瞑想を続けると、ストレスの度合いが低くなった、などの気づきを得る患者さんもいるのです。

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この学問が向いているかも 臨床心理学、行動療法学

立正大学
心理学部 臨床心理学科 教授
田中 輝美 先生

メッセージ

 「この人だったらどう考えるだろう」と想像してみましょう。相手の気持ちを完全に理解することは難しいですが、「このように考える可能性がある」ということならば想像することができます。
 例えば車を運転していて後ろの車に追い越されたとします。あなたが怒ってさらにスピードを上げてしまうとカーチェイスになり、とても危険です。しかし「あの人には急いでいる事情があるのだろう」と考えると冷静になることができます。このように他者の事情を考える習慣をつけると、他者に少し優しくなれるでしょう。

先生の学問へのきっかけ

 家族から「家族なのにどうしてわかってくれないの?」と言われ、「家族だからといって相手の気持ちが理解できるわけではないのに」と不思議に思いました。そして「他者の考えを理解する」という人の心の動きに興味を抱き、心理学を勉強することにしました。
 大学で心理学を勉強し始めたときは、漠然とした心理学概論に面白さを感じることができずにいましたが、実験でデータを集めて分析することで、漠然とした理論が証明できるようになると心理学が魅力的に見えてきました。仮説が実証されたときの嬉しさが癖になり、研究を続けています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

医療機器メーカー営業・個別カウンセリング(カスタマイズのため)/スポーツ塾インストラクター/児童養護施設指導員

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田中 輝美 先生がいらっしゃる
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 立正大学は、人間・社会・地球をトータルでケアできる人材を育成する8学部15学科を有し、多彩な学問分野において広く深く学ぶことができます。加えて充実したキャリア形成支援により、社会の多方面で活躍する優れた人材を輩出しています。本学は1872年(明治5年)東京・芝に開校の起点となる小教院を設立し、2019年で開校147年を迎えました。品川キャンパスは山手線2駅から徒歩5分の都市型キャンパス、熊谷キャンパスは東京ドーム約8個分の広大な自然環境型キャンパスをもつ、学生数1万人を超える総合大学です。

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