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講義No.09556

ケアを受ける人の「生活の質」を重視したシステムを作ろう

ケアがめざすべき目標とは?

 日本は現在、人口の約4人に1人が65歳以上という超高齢社会で、介護などのケアを必要とする人の数も増加しています。自治体、事業所、市民が協力し合って、効率的なケアシステムづくりに取り組んでいますが、近年は、ケアがどのような成果をめざすべきか、「目標」そのものを見直す動きが出てきています。

その人にとって「よりよい生活」

 例えば、病気が「治る」、動かなかった体が「動くようになる」ということだけが、ケアに求められる成果でしょうか? あるいは独り暮らしの高齢者に、週に何回のデイサービス(通所介護)を提供するかといった、「回数」を目標に置けばよいのでしょうか?
 ケアがめざす成果を考えるとき、従来はケアをする側の立場から目標を設定しがちでしたが、一番大事なのはケアを受ける人の気持ちです。その人がどのような生活を送りたいのか、その人自身が考える「よい生活」とはどのようなものなのか、つまり個々人の「生活の質(QOL:Quality Of Life)」を高めるための支援をすることです。それをケアの目標に掲げることが重要だという認識が高まってきています。

生活の質を測る「ものさし」づくり

 ケアを受ける人の生活の質を言語化・数値化するのは容易ではありませんが、イギリスではすでにその尺度が開発され、生活の質を構成する8つの領域として、「1.日常生活のコントロール、2.本人の清潔さと快適さ、3.飲食、4.安全、5.社会参加、6.有意義な時間、7.住まいの清潔さと快適さ、8.ケアを受けることに対する尊厳」が示されています。こうした研究を土台に、日本でもケアの現場で実際に聞き取りをしながら、生活の質を測る「ものさし」づくりを進めています。このものさしを使って見えてくるケアの成果をデータとして蓄積し、それを分析することで、今後、ケアを受ける人たちに寄り添った、よりよいシステムづくりをめざすことが可能になるでしょう。

参考資料
1:研究概要
2:社会的ケア関連QOLの尺度 ASCOT利用者版ver.2の8領域

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この学問が向いているかも 福祉社会学、社会政策学

津田塾大学
総合政策学部 総合政策学科 教授
森川 美絵 先生

メッセージ

 「福祉社会学」では、人々の幸福がどれだけ社会の中で実現されているか、個人や家族の経験を把握し、福祉に携わる人々や組織、制度、社会構造などを検証しながら研究していきます。その結果をもとに、望ましい社会のあり方やその実現に向けた方策を考えるのが「社会政策学」です。
 実際の生活を、学問で培った視点・物事のとらえ方を用いて検証し、社会を知り、自分を知り、多様な価値観をもつ人たちと新しい社会について考えていく、そんな知的好奇心にあふれた世界の広がりを、大学の学びを通じてあなたもぜひ体験してください。

先生の学問へのきっかけ

 中学・高校時代に、足腰の悪い祖父に付き添って近所を散歩したり、体が弱っていく祖母と接するうちに「介護」について身近に考えるようになりました。高校時代は社会科が好きで、日本の社会のなりたちや、社会の中の自分の存在について関心が深まり、大学で社会学を学びました。祖父母と接してきた経験を「日本社会のありかたという大きな枠組みと関連づけて考察できるのでは」と視野が開けたのは、この大学時代です。どのような社会にしていくべきか、どういう政策が必要かという点にも関心がおよび、政策の研究もするようになりました。

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森川 美絵 先生がいらっしゃる
津田塾大学に関心を持ったら

 西暦1900年、津田梅子によりわが国初の女子高等教育機関の一つである「女子英学塾」として誕生。本学はall-round womenの養成(全人教育)という創立者の先覚的で熱烈な理想に基づき、学生の個性を重んじる少人数教育と高度な教育研究を積み重ねています。卒業生の多彩な活躍と社会的な貢献-男性と女性の真の共生の実現は創立者津田梅子の願いであり、本学が真摯に取り組んできた課題です。性別や世代や国境を越えた交流、大学と地域との交流や「学び合い」を通して、より豊かな人間性を育みます。

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