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講義No.09526

外国語を使っているときは、思考力が低下している!?

思考力が低下する外国語副作用

 人間が母語でない言語を使って知的な作業をすると一時的に思考力が低下する、という「外国語副作用」が1990年代から研究されています。母語の運用レベルにはない言語を使っているとき、母語と同じように理解することは困難です。それだけでなく、そもそも論理的思考や感情的推論がしにくくなるということも確認されています。

第二言語でトロリー問題を考える

 トロリー問題という有名なジレンマ課題を考えてみましょう。この問題には2つのバージョンがあります。暴走するトロリーの先に作業員が5人いるとします。1つのバージョンでは、あなたは線路の切り替えスイッチのところにおり、切り替え装置を動かせばトロリーは支線に入り、5人は助かりますが、支線の先にいる作業員1人が犠牲になります。もう1つのバージョンでは、あなたは線路をまたぐ橋の上におり、隣にいる太った男を突き落とせば、それがストッパーとなってトロリーは止まり、線路の先にいる5人は助かりますが、太った男は犠牲になります。それぞれのバージョンの問題で、あなたならどちらを選択しますか。あなたは今、この問題を日本語で出題され、日本語で考えているでしょう。もし同じ問題が英語で出されたらどうでしょう。問題の意味はちゃんと理解できたとします。あなたの選択(答え)は日本語のときと同じでしょうか。それとも違うと思いますか。

「認知資源」の使い方

 心理学には、「認知資源」と呼ばれる概念があり、私たちが母語(日本語)を使うときと英語のような外国語(第二言語)を使うときでは、この認知資源の使われ方が異なるということが研究の結果、わかってきています。上のトロリー問題もこの認知資源の使い方が影響していると考えられています。
 母語(第一言語)と外国語(第二言語)を使うときの脳の働きの違いを考えることが重要です。

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この学問が向いているかも 認知心理学

国際基督教大学(ICU)
教養学部 アーツ・サイエンス学科 教授
森島 泰則 先生

メッセージ

 大学では、高校であまり機会のない「英語を使って学ぶ」という経験をすることができます。高校の授業のように日本語と英語を行き来しながら文章の意味をつかんでいては、勉強についていくことが難しいでしょう。
 第二言語の文章を読むときには、聴くときのように読んでみる、ということが大切です。英語のみを読んで7割くらい意味をつかむ練習をこなすと、脳が自動的に英語で理解できるようになっていきます。スポーツと同じように繰り返し練習することで、脳が認知資源をうまく配分できるようになるからです。

先生の学問へのきっかけ

 中学校で英語教師をしているときに、生徒たちが間違えるのにはいくつかのパターンがあることに気づき、興味を抱きました。なぜ間違えるのか、そもそも人間はどのように言語を習得しているのか、ということを知りたいと思い研究者を志しました。当初は母語を使うときの言語理解について研究していましたが、大学で学生に英語を教えたことをきっかけに、第二言語を使用するときの認知過程を本格的に研究するようになりました。現在は、第二言語のレベルがある程度高い、バイリンガル教育を受けている大学生を対象に実験研究をしています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

教育・学習支援系/公・私立高校教員、海外大学教員
製造業系/機械メーカー総合職
進学系/国・公・私立、海外大学院など多様な分野へ就職。
大切なのは、キャリアも含めた自分たちの人生を設計し、実現する能力を培って卒業していくという点です。

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森島 泰則 先生がいらっしゃる
国際基督教大学(ICU)に関心を持ったら

 ICUは教養学部1学部の中に31のメジャー(専修分野)を設けています。学生は入学時に専攻を定める必要がなく、入学後に様々な科目を履修し、自分の関心を見極め、2年次の終わりまでにメジャーを決定します。メジャーには、文学、物理学、心理学などの伝統的な学問分野と、「平和研究」「アメリカ研究」などの問題解決型や地域研究型があります。どの分野も、他大学の学部に相当する科目群を配し、専門を系統的に学ぶことができます。

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