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講義No.09521

コーヒーを飲むとがんにならない? ~医療とデータサイエンス~

メディアにあふれる健康情報

 メディアにはさまざまな情報があふれています。その中でも健康に関する情報は世代を超えて関心を集めています。あるものを毎日食べるとやせる、これを食べると病気に効果がある、など特定の食品を推奨する情報も少なくありません。中には実験や調査を行い、どれくらい効果があったか数字で根拠を示しているものもありますが、それを信じても大丈夫なのでしょうか?

観察研究調査は正しいか

 例えば「コーヒーを飲むとがんにならない」などの健康に関する研究では、対象者の日常的な行動を調べる観察研究が行われることが多いです。観察研究では、コーヒーを飲むグループと飲まないグループに対象者をランダムに振り分けず、もともとコーヒーを飲んでいた人と、飲んでいなかった人に分けて、がんの発症率を調べます。一見すると因果関係を示す正確な数字が出たようにも思えますが、飲む人・飲まない人の中にもいろいろな属性が潜んでいます。例えば、若い人のほうが年齢の高い人よりがんになりにくいのは自然なことです。若い人のほうがコーヒーを飲む人が多かった場合、年齢を加味しないと単に「コーヒーを飲むとがんになりにくい」という結果になってしまいます。このような場合を、年齢が交絡(こうらく)因子になり結果にバイアス(偏り)が入っていると言います。
 観察研究はランダム化研究と比べ、交絡因子によるバイアスに特に注意する必要があります。統計学では、このようなバイアスを減らすためのデータの取り方や分析方法を扱います。統計モデルを使いバイアスを調整し、年齢が1歳上がるとどれくらいがんのリスクが高まるかなどを定量化するような方法もあります。

医学で必要な統計学

 さまざまな情報の中から正しいものを選ぶためには、統計結果が正確な調査から発信された情報なのかを確かめる必要があります。残念ながら、医学論文には統計学的にみると問題があるものも存在しています。医学研究では結果の分析に統計学が欠かせませんから、医師への統計学の教育も必要だと言えるでしょう。

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この学問が向いているかも データサイエンス学

横浜市立大学
データサイエンス学部 データサイエンス学科 准教授
阿部 貴行 先生

先生の著書
メッセージ

 データサイエンス学部は2018年度にできた文理融合の新学部です。まだ学生数は少ないですが、モチベーションの高い学生ばかりです。
 医療統計学は人の健康に直結する非常にやりがいのある分野です。正しくデータを分析し解釈しなければ、間違った情報が社会に発信されてしまうという責任もあります。また、統計学やデータサイエンスでは医療のほかに、経済学、都市計画、スポーツなどさまざまな分野の研究ができます。あなたが、データを取り分析することに興味があるなら、ぜひ一緒に学んでいきましょう。

先生の学問へのきっかけ

 私は高校時代、勉強よりもハンドボールの部活に熱中していました。大学は、高校の教師に薦められるがままに工学部の統計学やコンピュータを扱う学科に入学しました。しかし、大学2年時の統計学の講義が面白く、また4年生のときに選んだ研究室の恩師が、臨床試験の評価をする厚生労働省の仕事をしていたことから、医療統計学を専門に勉強するようになりました。その後、製薬会社で実際に臨床試験の統計家の仕事を経て、大学での医療統計学やデータサイエンスの研究に入りました。

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阿部 貴行 先生がいらっしゃる
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 横浜市立大学は、「実践的な教養教育」を導入しています。高度な専門知識を教養教育を通じて身につけ、バランスのとれた人材育成を図る教育システムです。日本を代表する国際港湾都市に位置する大学として、世界に羽ばたく人材の輩出を目的に、国際感覚を養うさまざまな取り組みも充実しています。個々の可能性を最大限引き出すための厳しい教育プログラムを愛情を持って進めていきます。

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